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新時代の働き方、業種問わずオンライン活用へ

テレワークの課題、浮き彫りに

―今号(10月10号)の紙面特集より、新時代の働き方を掲載―。
 新型コロナウイルス感染拡大を受け、多くの企業が働き方の見直しを余儀なくされるカタチとなった。これにより、かねてより提唱されていた「働き方改革」に一層の拍車がかかり、なるべく他人との接触機会を減らすオンライン活用が急増している。当面続くであろう「ウィズコロナ時代」における働き方の課題を、様々なデータから探ってみた。
 全国で不動産事業を展開するザイマックスのシンクタンク、ザイマックス総研は7月、コロナ禍の働き方に関するアンケート調査の結果を発表した。調査は緊急事態宣言が解除された6月中旬に全国の企業1795社を対象に行われたもの。
 感染拡大対策として実施した施策でもっとも多かったのは「在宅勤務」で91.5%の企業が実施しており、次いで「時差出勤」が76.6%となった。各対策の実施状況を企業規模別で見ると、大企業ほど実施率が高い傾向があるものの、在宅勤務については従業員数100人未満の企業でも88%が実施しており、企業規模にかかわらず幅広く取り組まれたことがわかる。
 業種別に見てみると、1位の「情報通信業」の在宅勤務導入率は98.6%。次いで製造業(97.3%)という結果になった。
 「情報通信業は過去の調査においてもテレワーク関連施策の導入率が他業種に比べて高く、テレワークしやすい環境がもともと整っていたのが要因。製造業の2位は意外だが、現場のワーカー以外の職種で比較的柔軟な対策が採られたと見るべきだろう。現場のワーカーとなると、導入率の低い医療・福祉と同様、働く場所や時間に柔軟性を持たせづらいのが現実だろう」(ザイマックス総研)
 今回の調査では、全体の約9割以上の企業が在宅勤務を導入しているが、そのうち64.5%はコロナ禍を機に初めて導入したと回答している。また3割近い企業は在宅勤務を拡大するなど、コロナ禍が企業のテレワーク活用を急速に進める結果が窺い知れる。
 続いて、在宅勤務を実施した企業に対し、政府による緊急事態宣言が解除された6 月初旬時点の継続状況を聞いたところ、43.4%が継続していた一方で、55.4%は緩和、もしくはすでに廃止していた。
 「テレワーク継続の条件として『育児・介護等の事情のある人のみ継続』、『健康不安者のみ継続』といった限定的な運用に移行した例もみられ、企業の推奨・指示による全面的な在宅勤務は、緊急事態宣言が発出された4~5 月をピークとしてその後減少傾向にあると見ている」(同)
 テレワーク継続状況を企業属性別にみてみると、企業規模別では、大企業の57.6%が継続している一方、中小企業では緩和や廃止に移行している割合が比較的高いことも調査結果から明らかになっている。

テレワークにも温度差

 4月に出された緊急事態宣言において、政府は人との接触機会を8割削減するよう求めた結果、テレワークを推進する企業が増加する中、様々な課題も浮かび上がってきている。調査項目の「在宅勤務に関して困ったことや課題」によると、1位は「在宅勤務ではできない業務がある」(77.3%)と、他の回答に比べて突出して高かった。2位以下の「ペーパーレス対応が不十分」(45.9%)、「決裁等の電子化対応が不十分」(44.8%)といった回答も、1位の在宅勤務では出来ない業務のひとつとも言える。
 具体的な回答の中には「社内決裁等は全て電子化されているが、社外との契約に押印が必要で出社しなければならない」など、自社の取り組みだけでは解決できない課題も挙げられた。特にB2B企業は、クライアントのテレワーク推進度に影響される面も多々あるようだ。
 ここで、調査結果の中の具体的な回答をいくつか紹介する。テレワーク環境整備に関しては「貸出用Wi︱Fiルーターなどの機器が足りず、必要分を確保するのに時間を要した」、「情報漏洩の懸念からコンビニプリントを禁止されており、印刷できない問題が発生している」といった機器の不備に対する課題が多い。
 仕事の進め方については「民間同士では電子化のやりとりも進んできているが、公的機関や行政関連の電子化が進んでいないために出社せざるを得ない」、「在宅勤務できない社員から『ずるい』という声が上がっている」、「これまでその場で解決できたことがメールや電話になるため仕事が増えた印象」といった回答が寄せられた。
 その他の意見としては「在宅勤務をかたくなに拒否する人も少なくない。『家に居辛い』という理由が多い」、「ずっと一人でいることにストレスを感じる人と平気な人、社員の性格により反応が二極化している」、「先がみえない状態で続けているため社員のモチベーション管理が難しい」といった意見が聞かれた。
 「調査結果1位の『在宅勤務ではできない業務がある』は、できない原因が環境整備に関する不備・不足であるならば、適切な設備投資や運用ルール策定などによって解決が可能だろう。実際にコロナ危機を受けて完全在宅勤務に踏み切ったある企業では、従業員向けのアンケートを行い、在宅勤務に課題や不満を感じている人には詳細をヒアリングして、理由を細分化することで対処している」(同)