コラム

2020年10月25日号

 朝夕もう涼しく、いや寒ささえ感じるほどになった。もう半袖は不要と少し遅れて衣替え。小生、無頓着なほうで、衣替えの作業中にTシャツなどのシミやほつれにやっと気づく。古びた衣服をまとめてゴミ箱に放ると、カミさんが寄付しようと取り上げる▼そうやっていくつかが消え、多くは夏まで衣類ケースで冬眠と相成る。なぜか毎年残す古いシャツがある。普段は着ないし想い出なんぞも無い。お前まだいるのかと独笑して今年も仕舞い込んだ▼これがまあ、小生の小さな季節行事だが、古来、日本には季節を愛でるさまざまな行事があった。今の時期でいえば秋の七草を飾る十三夜、五穀豊穣に感謝する宮中での神嘗祭。各地での収穫祭、秋祭り。紅葉狩りも平安期からの古い風習だ▼けれど街中でハロウィンの華美な飾りを横目にすると、こうした日本の行事の多くが、もう記憶の片隅にかろうじてあるだけのもののように思える▼何も否定はしないが、トレンドといったものが得体の知らない力をつけて、風習・文化・習俗をどんどん変えていることを実感できそうだ▼ビジネス社会の言葉も、一般になじみの薄い横文字がやけに増えた。うんざりだった小生でさえ、今はそうした横文字をいっぱしに口にする▼恐いのは、そこに個人の意思が希薄にしかないことでないか。世の中、フルスピードで変化しているが、変化に合わせるだけでいいのか。秋のいわし雲でも眺めながら、少し考えてみたい。