連載

2020年10月25日号

5G X LAB OSAKA、全国初 官民連携の5G技術検証施設

最先端技術いつでも体験できる

 タブレット端末でゲート枠を認識させると、その向こう側に広がる真っ白なゲレンデが端末画面に映る。歩を進めてゲートをくぐり、端末を上に向けると青空が、左右に向けるとゲレンデを滑る大勢のスキー客らの姿と声が聞こえる。振り返るとゲートの向こうには今までいた現実の世界が窺える。まさに「どこでもドア」だ。
 ここはソフトバンクと大阪市、AIDOR共同体(大阪産業局、i-RooBO Network Forumで構成)が共同で10月1日、大阪市内にオープンした中小企業向け施設「5G X LAB OSAKA(ファイブジー・クロス・ラボ・オオサカ)」(ソフト産業プラザTEQS内)。5G(第5世代移動通信システム)技術を検証し、事業化を支援する全国初の官民連携の施設だ。松井一郎・大阪市長はオープン前日の報道陣向け内覧会で「5Gに絡み製造、交通、医療、建設、小売などあらゆる分野でイノベーションが起こっており、このラボを使って大阪万博に向けて未来の世界を創るきっかけにしてもらいたい」とのビデオメッセージを寄せた。

可変的に「最新」展示
 施設は最新機器を並べた展示・体験ルーム(約240平方㍍)と、外部からの電場・磁場の影響を受けないようにして試験用5G基地局を設置した検証ラボ(約40平方㍍)で構成。公式ホームページ(https://teqs.jp/5gxlab)からの完全予約制とし、向こう3年で15件ほどの新規ビジネスの創出を目指す。
 展示・体験ルームには冒頭のどこでもドアのような装置「Vuforia」のほか、低遅延で高精細な映像を見ながら力加減を手に感じながら遠隔操作できるロボットアーム、工場で製造した品物をロボットアームを使って多方向から撮影して検査する装置、数㌢メートルの誤差で移動体の位置を把握し自動運転・遠隔運転の実現に寄与する高精度測位システム(車線の左右のどちら側を走行したのかもトレースできる)など5Gを活用した製品・サービス約20種類が展示され、体験しながら新たなビジネスの発想を促す。紹介するのはいずれも最先端技術だが、これが完成形というわけではまったくないと大阪市の柏木陸照経済戦略局長は力を込める。
 「数カ月経つと中身はどんどん入れ替わる。新技術を可変的に展示し、様々なシステムを体験いただける。これは全国初の試み。初期状態を維持するだけなら他でもできる」
 ソフトバンクの藤長国浩常務執行役員は「個人的には3カ月に一度の更新を要望している。官民で協力する意義は非常にあり、当社は大阪市さんとだけでなくデジタル化があまり進んでいない市町村を含め様々な連携を進めているところ。地域の活性化につながる」とこの動きを全国に波及させる考えだ。

(写真=ゲートの向こうに360度のAR空間が広がるVuforia(パートナー企業はSB C&S、PTC、キャドセンター))

(2020年10月25日号掲載)