連載

2020年11月10日号

三井ハイテックは独自の固定砥石研削、丸五テックは磨きレスを追求

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 プレス金型、モーターコア金型、リードフレームのほかそれらの製造に欠かせない平面研削盤などを製造する三井ハイテック(北九州市、社員3970人)は、小型CNC研削盤「HPR-PCNCF-R’」の拡張性を9月に開いたウェブ展示会で訴えた。省スペース設計(設置スペースは従来機比42%減)の同機は複数台の連結が容易で、「多関節ロボットを利用してワークの受渡しに向く。AGV(無人搬送車)との連携も容易」(工作機事業部の本田敏文技術開発部長)と言う。
 研削にAIの利用を進めている(特許出願中)。振動解析アルゴリズムで残りの加工時間と現在の砥石状態から加工条件を変更する。また現在の加工を継続させるか砥石のドレッシングを行うかどうかの判断までできるという。
 新しい加工法としてインデックスを利用した丸ピン加工と、固定砥石を用いた平面研削を紹介する。前者は計4軸制御により直径5㍉の円柱ワークを4×2㍉の楕円形に研削可能。「支持装置をワーク回転に同期させれば長尺ものでも加工できる。ピンは加工時間が角ものより短いのでロボットを用いた自動着脱が有効」(同)と話す。固定砥石を用いる後者は独自研削で、平面の砥石なので基準面を把握して機械座標で正確に制御できるのが特長。通常の回転砥石では砥粒が脱落し(数十ミクロンレベルだが)、ドレッシングしてもオペレーターによりバラツキが無視できない。実際に加工評価すると、Cu材で回転砥石(♯600)でRa0・196ミクロンが固定砥石(♯3000、細粒でも取り扱いやすい)でRa0・066ミクロンに。同様にSUS材でRa0・258ミクロン→0・031ミクロンに仕上げられたという。
 ゴム金型メーカーの丸五テック(岡山県倉敷市、24人)はマシニングセンタ(MC)で仕上げる「磨きレス」を進めている。林内浩彦工場長は「数年前に80%を磨きレスを目標に取り組み始め、60%程度まできた。どうしても形彫り放電でしかできない加工が4割ほどあるので」と三菱重工工作機械とのコラボセミナーで話した。ただ、加工時間の半分近くを占める手磨きをなくすことができても、CBN工具など高価な刃物を消費するため、1型あたりの加工費は1、2割減にとどまるという。一方で磨きレスは時間短縮につながり、「CADCAMスタッフの腕一つでリードタイムの大幅短縮ができる。いくら技能を技術化(数値化)しても職人技が必要なことに変わりはない。ほぼリピートなしの一発勝負で標準化できない部分が多いから」と言う。だから数年前までは多能工化を進めてきたが、CADCAMは専門社員が担当するようにした。
 断熱効果がそれほど見込めない工場は夏は26℃、冬は17℃の設定で空調はほぼつけっ放し。そこは熱容量が大きく、主軸の安定性が高いMC(三菱重工工作機械のμV5)でカバーし、主軸1万回転時は5分間、1万~2万回転時は8分、3万回転以上は10分間の暖機運転により精度を維持しているという。

(写真=磨きレスで加工(丸五テック))