コラム

2015年1月25日号

 こっちのホテルあちらの会場と、製造系の団体や工業会の新年賀詞交歓会を連日のように回ってふと、いつもの新年会と違うと感じていることに気づいた。ホテルのロビーからして混み合い、賀詞交歓の各会場も多くが参加者増、人いきれがしている。各代表者が語る展望も総じて例年よりうんと明るい▼けれど違いを覚えたのはそんな理由からじゃない。喩えでいえば、未知の世界に向かって開きだした扉があるとして、向こう側が見えそうになると、きっとワクワク感と同時にある種の不安、漠然とした頼りなさがない交ぜになる。そんな状況に似た微妙な空気をいくつかの会場で感じた▼製造業はトライ&エラーを重ねながら階段を一つひとつ登るように進化してきたが、いま扉の先に見え出すのは、進化の数段飛びを可能にする人工知能や次世代オートメーション技術の世界だ。ビッグデータや先端ロボットを駆使して行う製造革新も先進各国で端緒についた▼だからだろう、経済のファンダメンタルズを取り上げ、いい、悪い、どうだこうだといった挨拶や会話とはまた違う一面が今年の新年会にどうも滲む。未来の景色が黒船のように押し寄せ、しかも自社の事業と絡む。ビッグチャンスの手応えと同時に、岐路に立って不安がよぎる▼時代の変遷のなか、過去からいくつもの技術や製品が消え、新しいものに置き換わったが、今はその最大級の変化の波が来ている。日本勢はうまく時代に切り込めるのか。外野席にいてエールを送るしかないが。