News

FCV本格普及へ、市場創出策を加速

国は規制改革と技術開発で支援、トヨタは関連特許を無償提供

 トヨタ自動車は15日、燃料電池自動車(FCV)「MIRAI」の受注台数が昨年12月15日の発売開始から、1カ月で約1500台になったと発表した。さらに、22日には増産決定を公表。年間生産台数を2016年に2000台程度、17年には3000台程度に拡大する方針だ。
 受注の内訳は、官公庁や法人が約6割、個人ユーザーが約4割。
 政府へは経済産業省、国土交通省、環境省、内閣官房に1台ずつ納車。15日には首相官邸にて、納車式を実施。第一号車に試乗した安倍総理は、「加速が良く、静かなクルマに試乗し、水素社会の幕開けを実感した。全省庁で導入したい」とコメント。さらに、「(FCVの普及を)進めていく上には、今までも多くの規制を緩和・撤廃してきたが、さらなる規制改革、そして技術開発の二本立てで前進させていきたい。また、水素においても、セルフスタンドを可能にするために、規制改革に取り組みたい。そのために、規制改革会議で議論していきたい。いずれにしても、(FCVは)環境にも優しい、新しい時代を切り開いていくものと確信する」と今後の取り組み方針を明らかにした。昨年12月末に閣議決定した緊急経済対策でも、「MIRAI」の市場投入を踏まえ、「水素を供給する水素ステーションの整備を加速し、普及を促進する」と明記。FCVの普及促進および早期の自立的な市場確立を目指し、水素ステーションの整備費用の一部を補助するほか、供給設備の適切な整備・運用方法の確立や需要創出等に必要な活動費用の一部を補助する。

官民一体での規制・制度改革に期待
 この緊急経済対策を受け、新年早々の6日、トヨタ自動車は世界で約5680件の燃料電池関連の特許(審査継続中を含む)の実施権を無償で提供すると発表。市場創出に向けた積極策を示した。同社は、「導入初期段階では普及を優先し、開発・市場導入を進める自動車メーカーや水素ステーション整備を進めるエネルギー会社などと協調した取り組みが重要であるとの考えに基づくもの」と説明。特許実施権無償提供の具体的な内容としては、燃料電池スタック(約1970件)・高圧水素タンク(約290件)・燃料電池システム制御(約3350)というFCVの開発・生産の根幹となる燃料電池システム関連の特許で、「これらの特許を実施してFCVの製造・販売を行う場合、市場導入初期(2020年末までを想定)の特許実施権を無償とする」(同社)と言う。また、水素供給・製造を行う水素ステーション関連の特許(約70件)は、水素ステーションの早期普及に貢献するため、設置・運営を行う場合の特許実施権を、期間を限定することなく無償にする。
 特許実施に際しての対応については、特許実施権の提供を受ける場合の手続きと同様に同社に申し込みを行うが、具体的な実施条件については個別協議の上、契約書を締結する。
 トヨタは、特許(知的財産)の取り扱いについては、「オープンポリシー」を基本に、第三者からの実施の申し込みに対しては、適切な実施料により特許実施権を提供しているという。
 今回、燃料電池関連の特許に関しては、こうした基本方針を一歩進めて無償で特許実施権を提供することを決定。「FCVの普及を後押しし、水素社会の実現に貢献していきたい」としている。
 「アベノミクス」の本丸となる「成長戦略」のポイントは、大胆な規制・制度改革、投資減税による企業投資を促進し民間活力を引き出すことと、新たな市場の創出だ。
 本格的な水素社会構築にはまだまだハードルは高いが、官民一体となった規制緩和や制度改革への取り組みが期待される。