オヤジの喜怒哀愁

2015年2月10日号

逃げる2月

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 「2月は逃げる」と下世話にいう。3、4、5月は年度替わりの時期で何かと忙しく、ここで万全の準備を整えておきたいところなのだが、2月は1年12カ月の中でも最短月であり、気は急いても足早に過ぎていくな、と毎年のように思う。万全の準備が整わないのは自分が怠惰なせいだが、つい短い2月のせいにしたくなる。
 ご存知の通り大の月があったり小の月があったり、2月が28日だったり29日だったりするのは暦の調整のためだ。地球は1年で太陽の周りを1周回る。月はひと月で地球の周りを1周回り、地球は1日で1周自転している。が、厳密にはそれぞれ誤差があり年月日を調整する必要がある。走り幅跳びの選手はファールしそうなとき、踏み切り板の前で少しだけ歩幅を短くしてファールを避ける。いってみれば、その短い一歩が2月なのである。2月は調整色の濃い月という気がする。
 しかし、短いことは悪いことばかりではなくて、月給とりにしてみれば大の月よりも3日も少なくて月給は同じだから1割お得な月ともいえる。その昔、10日場所が年2回のお相撲さんを称して「1年を20日で暮らすいい男」といったけれど、そこまでではないにせよ、2月はサラリーマンだって「ひと月を20日で暮らすいい男」なのである。
 逆に、使用者側は1割損する月だ。商売をしている自営業の人たちにはニッパチといって2月と8月は上がったりの月として忌み嫌われている。ともに寒さと暑さが極まる月で、人が動かなくなる。ボーナス商戦の反動でちょうど消費が落ち込む月でもある。売り上げがどうしても上がらない。ことに2月は短いときている。そのくせ月々の掛かりはいつもの月と一緒なのだから、たまらない、帳尻が合わない。ひと月35日の超大の月があって、売り上げを上げ、使用人をひーひー言わせこき使ってみたいと思う経営者だっているかも知れない。
  2月は短い。それをさほど意識しているわけではないのだが、知らず知らずのうちに調整感が漂う。万全の準備をする時というよりも、やや溜めをつくる時、若干、手を抜いて休む時ではないかという気がしないでもない。 
 2月生まれの方は気を悪くしないでほしい。べつに2月が悪いのではない。悪いのはすべて怠惰な筆者のせいである。