コラム

2015年2月25日号

 企業のセミナーなどに行くと開始直前に必ず「携帯電話は電源をお消しになるかマナーモードで」とアナウンスが流れる。思い起こすと20年ほど前までは「場内は禁煙とさせていただいています」も定番的にあった。紫煙の中で会議していたような当時だから、一応念を押していたわけか▼最近は時代を映し「ノートパソコンは周囲に配慮してお使いください」が、新顔として出て広がろうとしている。カチカチ・コツコツ。音は小さいけれど、電車の中の通話と同じで、気になりだすと神経がそっちにばかり行ってイライラする。確かに配慮は欲しい▼その延長で本当にどうかと思うのは、記者連中のノートPCだ。ある記者会見で、筆者の前方、左から右まで、皆がこうべを垂れて、ひたすらキーボードを打つ状況があった。盗み見ると、メモじゃなくほとんどその場で原稿にしている。そこまで忙しいか。紙面ではなく先にネット用の原稿を上げなければならないから急ぐのか▼せめてブラインドタッチにして目は会見者を見ようよ。でないと失礼だし、第一ここは質疑応答をする場じゃないか―。などとは言わずただただ呆れたが、会見側も原稿を読むだけだったりすると、もう冗談を超えて、うすら寒い▼そうやって出来た情報が「考えるより先に、ネットで分かった気分になれる世の中」を飛び交う。果たして人の想像力や洞察力は、もの凄く衰えているんじゃないか。一億総白痴と指摘されたTV世代の凡庸なる筆者からしてそう思う。