コラム

2015年4月10日号

 通勤路やオフィス街で新社会人を見かける。毎年春のお馴染みの光景だが、着慣れない新着のスーツ姿、少し浮き足立った立ち振る舞いや言葉遣いから、はっきり新社会人と分かるのがいつの年もなんだか不思議だ。これがまた1年も経つと明らかに社会人らしくなっていくから面白いものである▼就職時には皆、期するものがあるだろう。筆者も初志貫徹などと自らに言い聞かせてもう幾星霜、よく気持ちに錆がついて磨き直す。新社会人の溌剌な姿をみて錆取りにかかることもあった▼それはさておき、紹介したい話がある。社会人暦40年以上の先輩が、就職して都会で暮らすようになってすぐのこと、故郷に住む母親から送られてきた手紙にはこう書かれていたという▼…これだけは言っておく。過去から貢献のあった人をないがしろにしてはいけない。それはお前の目であり、耳であり、そして知恵と思え−。厳しく直截的で、ぶれのない力を持つメッセージは、影に母の強烈な愛情がある。受けた当人はずっと40年以上、頭の隅に置き、今も事あるごとに思い起こしているそうだ▼もちろん文面は完璧に諳(そら)んじている。先輩よりも後輩の割合がずっと多くなった現在は、自身が後輩の目に、耳に、知恵になれればと話す▼そういう人たちが常に集って組織は正しく保たれるのだろう。世代間ギャップや辛いこと、理不尽な事といろいろあろうが、相互信頼を失ってしまえば、組織も人も成長はしない。新入社員諸氏、よい信頼関係づくりを。