オヤジの喜怒哀愁

2015年5月10日号

代議士向きの名前

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 統一地方選は終わったが、選挙広報やポスターを見ていて気づくのは名前をひらがな表記にしている人が多いことだ。全部漢字というのはむしろ少数派で、苗字か名前のどちらか、あるいは全部ひらがなという人のほうが多い。むずかしい漢字だと、読みにくかったり、せっかく投票してもらったのに書き間違えて無効票になってしまう可能性があるからだろう。こうしたひらがな表記は通称として登録できることになっているらしい。
 たしかにむずかしい漢字は名前を覚えてもらう上で不利だろう。選挙戦では、候補者はまず名前を覚えてもらわないことには始まらない。そして、投票用紙に名前を書いてもらわなければならない。候補者名だけを連呼する選挙カーが多いのも、立候補した側からすれば仕方がない、ということなのだろう。
 ひらがな表記が多い理由でもうひとつ考えられるのは、名前から受けるイメージである。画数の多い漢字が並ぶ名前は覚えてもらいにくいうえ、なんとなく固そうなイメージがある。ひらがな表記の名前はなんとなく優しいイメージがする。名は体を表す。実力がありながらそれまであまり知られていなかった鈴木一朗が登録名をカタカナ表記のイチローにした途端、大ブレイクしたという例もある。
 もちろん、候補者選びは人物本位であるべきで経歴、経験、実績、政策などよく踏まえて選ぶことだ。しかし、それでも本名とは異なるひらがな表記を通称で登録する候補者が多いのはやはり名前が大事だからなのである。
 以前、知り合いの社長さんを訪ねた時にこんなことがあった。社長さんは自ら選挙に出馬しようとしたが奥さんの反対で断念したという経歴の持ち主で、政治や選挙に見識のある人だった。部屋に入ると社長さんは筆者の前に来ていた営業マンの名刺を見せながら「いい名前だ。選挙に出れば一発で当選しそうな名前だ」とうらやましそうに言った。名刺には「川崎大八」(仮名)と書いてあった。たしかに代議士に出れば一発で通りそうな名である。