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機械工具商社タック、創業10周年 人を活かす経営で急成長

謝恩プライベートショー、大盛況に

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 マザック、オークマ、ソディック、牧野、安田・・・。日本を代表する工作機械メーカーのマシンが約20機、それも各社の主力機種がタック(髙藤直利社長、従業員43名)本社に隣接する多目的センター「ANNEX」に並んだ。
 「地域商社の個展で、これだけ多くの工作機械の実機を見たのは初めて。売上数百億のビッグディーラーでもここまでは出来ない。ましてや従業員規模で4、50名の会社だと、全国でもタックさんだけがやれるプライベートショーでしょう」。そう、事情通で知られる大手設備系メーカーのベテラン幹部が話す。創業10周年を記念して開いたタック「謝恩プライベートショー」(4月24、25日開催)の会場で聞いた話だ。工作機械以外にも産業用の人型/小型ロボットをはじめ、最新の工具、周辺機器、測定機、環境・省エネ機器などが一堂に集結。138を数える出展社が、目標のほぼ1・5倍に相当した1775名の多くの来場者に提案を行ない、個展は盛況裏に幕を閉じた。

■裸一貫から、人の力で
 5期連続増収増益で売上約40億円。今期もピーク更新を見込み業界でも「異色の成長」を続けるタックだが、創業時もまた違う意味で「異色」だった。
 10年前、創業者で現社長の髙藤氏が「独立せざるを得ない」状況に直面し、それで立ち上げたのが、タックだったのだ。その際、意外にも前職の同僚や部下ら19人が私についてきたと、髙藤社長は次のように当時を振り返る。
 「給料俺が払うの? 払えないかもしれないよ。ついてきた19人の仲間には半ば冗談でそう話しましたが、本当にそうなる可能性のほうが高かったですね。正直、4~5人とならやっていけるとの算段はありました。事務所は古い貸し倉庫でクーラーも無く、暑くて蚊が多く、香取線香を必ず3本焚いていました。トイレも無し。近くの道の駅までいって用を足してね(笑)」。21世紀の日本の会社とは思えない環境。そこから這い上がったわけだ。
 「お客様が手形取引を現金にしてくれたり、無理して注文を出してくれたり」(同)と周囲の厚い助けにも支えられ、結果、創業から半期で実に16億8000万円の売上高を記録した。

 ■先を見据える積極経営
 軌道に乗るとすぐISO14000の認証取得にキックオフする(07年取得)など、ひと息いれることもなく積極経営を進めた。08、10、12年と2年置きに連続して営業所を開設。「髙藤商店じゃなく、夢のある一般企業にする」(同)の思いから、春には必ず新卒社員を採用するようにし、育成して組織を固めている。
 髙藤社長の経営決断には、共通項として「長期を見据える目」がありそうだ。ISO認証取得、新卒採用もそうだし、「目先の価格交渉で仕入先を変える愚は犯さない。長く付き合ってプラスにしたい」や、「当社は敢えて在庫を増やすことで差別化をはかった」とする言葉にもそれは現われている。
 在庫を豊富に持つ決断は、在庫を圧縮し手元流動性を高めるキャッシュフロー経営が重視されだした時代と逆行していた。「しかし、在庫を常に抱えていれば、いついつまでに配達できますと言う前に、ここ(タック本社)にありますと地域のお客様に言えるんです。それが長い目で見て安心感や信頼感につながります」(同)と捉え実践した。どの商品をどれだけ在庫すべきか。今年に入っては、過去のデータ等から在庫商品種とその量を自動計算して最適化するシステムの設備も進めている。

■人、絆、信頼関係…
 「顧客第一でなく、当社は社員と仕入先を重要視していますよ」と髙藤社長。前述した19人の創業メンバーが「結婚退社の1人を除き、誰も辞めていないのを誇りたい。髙藤についていって良かったと言わせることが僕の使命だった」と言い、仕入先(メーカー、卸)との関係については「協業関係がしっかりしてはじめて顧客に満足感を提供できます」とキッパリ。
 「絆が本当に大事です」…恐らくは、創業時にたくさんの応援と支援を得た過去も振りかえって髙藤社長はそう言う。10周年行事は今回の個展に続き、社員海外旅行、社員の家族の為の謝恩会と、連続して年内に行う。
 …謝恩プライベートショーの会場で、高額機械を遠方から運び込んで展示した旧知のメーカー社員に会った。「そりゃあ運搬費も馬鹿にならない。しかしね、タックさんは協力すれば必ず返してくれます。本当に間違いなくそうなる。だから迷うことなく参加しました」―信頼関係の一端を見た思いだ。