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日中投資促進機構、華南地域調査の報告会を開催

産業集積重視等、中国側に提言

 日中投資促進機構(豊田章一郎会長)は4月24日、「華南地域の投資環境調査」など昨年度事業の報告会を大阪市内で開催した。
 開会のあいさつに立った嶋原信治事務局長は「昨年11月に続き4月のバンドン会議でも日中首脳会談が行われ、両国関係に改善の兆しが見え始めている。今年は中国で抗日70年式典が控えており予断を許さない状況だが、我々としては対中投資の適切な情報をタイムリーにお伝えし、『経済をもって政治を促す』との想いを貫き通したい」と話した。
 同機構の会員企業・機関数は321社(15年3月末)。活動報告によると、中国側のカウンターパートである中日投資促進委員会との事務局会議を昨年度は6回開催して中国側に会員企業の要望を伝えたほか、3年半ぶりに日本で中国外資政策セミナーを開催した。昨年度は述べ357社(中国現地法人80社含む)を訪問するなど、往訪活動を強化しているという。

■旺盛な内需、競争は激化
 「華南地域の投資環境調査」では、中国経済をけん引するトップランナーである広東省、台湾との関係を活かし発展してきた福建省、ASEANとの玄関口である広西チワン族自治区に分け、現地調査などを実施した。
 調査では珠江デルタ地域の委託加工や広東省の自動車産業、華南地域の物流などの現況をまとめたほか、日系企業の進出・撤退の現状から、華南地域の現状と今後について探っている。
 調査によると、進出・事業拡大事例が目立ったのは自動車、スマートフォン、ロボット、アフターサービス、研究・開発など中国国内での需要増加対応に迫られる分野。一方で、電子機器、OA機器関係のローテク・労働集約型産業では、事業不採算やグローバルな事業拠点集約などの要因から、事業縮小や撤退を決断するケースが目立つ。好調な自動車やスマートフォン部品関連分野でも、中国ローカル企業との価格競争が激化し、撤退を余儀なくされるケースもあった。

■土地問題が顕在化
 急速な都市化が進む珠江デルタ地域では、製造業の移転要求など土地問題が事業拡大のネックになっていた。「増設をしたかったが土地の認可が下りず、別の場所に第二工場を作った」、「取引先が立ち退き要求をされて遠方に移転してしまい、自社の事業継続に影響が出る」、「雪崩式に移転や撤退が生じて産業集積度が低下するのではないか」―などの声が聴かれた。そのほか、通関対応のバラつきや労働力確保などの課題も挙がっていた。
 なお、広東省では珠江デルタ地域からの労働集約型産業の移転先として、省内30カ所以上に省認定の「産業移転工業園」を設置し、各工業園別に重点産業を設定して受け入れを行っているものの、日本企業の進出数はまだ少なく、認知度も低かった。
 こうした現況を受け、日中投資促進機構では中国側への4つの提言をまとめている。主な内容は、(1)サプライチェーンを意識した産業高度化の推進(高度化への急激な舵切りは産業瓦解の恐れ)、(2)魅力のある新たな誘致条件の必要性(産業移転工業園の認知拡大、新誘致政策など)、(3)実態に即した構造改革(人材、形式審査、インフラ整備に課題有)、(4)自動車産業活性化への施策(土地問題、労務派遣規定の解決やHV車活用政策を期待)―など。嶋原事務局長は、「これらの提言をはじめ進出企業の生の声を積極的に中国政府や投資促進機関に伝え、課題克服による経済連携の深化を進めたい」としている。