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レーザー加工、市場に広がりの予感

板金分野だけでも多種多様な新技術

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 半導体関連のエッチング処理から微細加工、マーキング、3Dプリンター、溶接、そして薄板から50ミリクラスの厚板加工などまで、産業分野におけるレーザーの活用領域が着実に広がっている。板金加工分野に目を向けると…。
 4月に東京ビッグサイトで開かれた「第15回光・レーザー技術展」。板金加工機でトップのアマダホールディングスは、昨年ドイツで発表したダイレクト・ダイオード・レーザ(DDL)を使った加工技術を紹介した。米社との共同開発による2キロと4キロワットのDDL発振器を国内初披露。目立たせるふうでもなくブース奥に置いたが、知る人ぞ知るの間で話題に。その技術説明パネルをこっそり見つめる競合メーカー幹部の姿もあった。
 溶接などで以前から利用されてきたDDLは、出力を上げると光の品質が極端に落ちるため、パワーを要する切断加工では使用されなかった。その品質悪化の問題をクリアーし、板金加工へとDDLの活用領域を広げたのがアマダの新しい成果だった。加えて発振器の大きさがCO2タイプのほぼ半分で済むことも、ユーザーの関心とライバル社の警戒感を呼び込む。
 DDLのレーザー変換効率はCO2レーザーの約10%に対し40%と圧倒的に高い。軟鋼の薄板でCO2やファイバーを凌駕する高速加工ができ、薄板~中厚板加工時では面粗さも「ファイバーの高品質な面からは若干劣るが、CO2を大きく上回る」(同社)。また16ミリ前後の厚板では、厚さに対し強いCO2と比肩する粗さ精度を実現する。アマダのDDLはまだ発振器のみが完成した段階。加工機は「単体では無くシリーズ化して売る考え」(同社)で、発売は来年になる見込みだ。このため同社営業サイドにDDLを推す動きはまだ表立ってないが、市場から見えないところで開発陣が大忙しになっている。

■多様なレーザー
 DDLより数年早く市場化したファイバーレーザー(FL)も、前出のアマダが6キロワット発振器を新たに市場投入するなど動きが盛んだ。
 レーザービームの品質を上げ、薄板ワークに対し「世界最速の切断速度を実現できる」とするコマツ産機は、「FLの認知度が広がり、着実に普及している。なかでも自動車絡みの受注が多い」(企画グループ)という。「ヘッドが自在に動く3次元タイプのFL加工機を昨秋発表したが、この機種の動きが特にいい」(同)そう。
 FLの微細分野応用でリードする渋谷工業もFLを引き続き強化中。同社地元の金沢市で開催される産業展示会「MEX金沢」(5月14~16日)では新型機を披露する予定だ。
 小池酸素工業は、今年4月に千葉市の同社工場で開いたプライベートショーで、多彩なレーザー切断技術を見せつけた。プラズマ切断、ファイバー切断、CO2切断、ウォータージェット切断。近い将来が有望という水素切断でも技術をみせた。
 高速切断がウリという、コンパクト化をはかった初のハウジングタイプの新ファイバーレーザー切断機(2キロと5キロワット)は「シャーリングからの置き換えが期待できる」と睨む。また造船分野や大型機械向けに強いプラズマ切断機は、圧倒的なスピードをプライベートショーで見せつけると同時に、大型のドリルユニットを付加して切断と同時に厚板への穴加工を行う新機種を披露した(=写真)。
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 他にもCO2レーザーで厚さ50ミリ前後の軟鋼材を切断したり、逆にCO2タイプでも短いパルス幅でパルスを発振し、微細加工を行う例を、展示会等で実際のワークとともに目にすることが増えた。さらにエキシマレーザによるミクロン以下での微細加工や、工作機械に搭載してのレーザー加工も一般に用いられだした。話題の3Dプリンターも、金属粉末を素材に用いる産業用を中心にレーザーがコア技術に上がる。
 レーザーの進化と活用はもっと広がる予感がある。
(画像=多彩なレーザ技術を披露した小池酸素工業の個展(4月))