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ASEAN、知財保護強化へ

焦点は審査期間の短縮

 ASEAN各国で知的財産保護に対する取り組みが年々強化されている。特許、商標、著作権などを守ることが、経済や文化を発展させる上で重要と考えられているからだ。5月下旬、奈良で開かれた「アセアン特許庁シンポジウム2015」では、加盟10カ国から出願件数の動向や審査期間の短縮に関する報告があった。
 開催国である日本にとって、ASEAN各国は「今後の事業展開先として有望視」(日本国特許庁)する貿易・投資相手だけでなく、知財保護の点でも関係が深い。出願人国籍別の特許出願件数で見ると、日本はタイとベトナムで一位、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピンで米国に次ぐ位置にある。
 冒頭、特許庁の木原美武特許技監は、日本の産業界が各国に求める要望として、▽審査の迅速化▽特許審査ハイウェイ参加国の増加▽意匠・商標の制度調和▽データベースの整備・信頼性の向上▽模倣品対策︱を挙げ、Win−Winの関係構築を強調した。
 日本は2013年度から各国に審査官を派遣し、審査実務に関する研修・指導を拡充している。出願書類の電子化にも一役買っているそうで、今年6月にはカンボジアで整備が完了するほか、年内にもインドネシア、ラオス、ブルネイなどで支援に着手するという。
 審査の迅速化について、各国は具体的な数値目標を掲げている。例えば、インドネシアが目指すのは、商標審査期間を現行の14カ月から8カ月に短縮すること。ラムリ知的財産権総局長は、「最も時間のかかる実態審査を同時進行で行うことで縮める」と話す。増加傾向にある商標出願件数は年間6万件を突破。「市場拡大を反映したもの。特許に関しても18カ月にならないように、電子化も考えている」とした。
 タイのマリー商務省知的財産局長は、業務の効率化で「商標登録の期間を20カ月から9カ月に短縮した」と報告。実態審査にかかる日数を48%縮めることに成功したものの、審査官の人数は「20年前と変わらない」という。
 「出願件数が増加している。人員を増やすために他国のトレーニングに参加し、マニュアルも作成する」と話したうえで、「年末にはマドリッド制度(国際出願することで多数の制度加盟国に一度に商標出願ができる)の加盟を予定している」との考えを示した。