連載

2013年10月25日号

板金・溶接技術をベースに業容拡大

独自の「バリ取り装置」が急成長中
エステーリンク[精密板金他]
新潟県燕市

 豊かな土壌から養分を吸い取って、一本の木が枝を広げ伸びていく・・・。エステーリンク(斎藤孝二社長、社員約60名)はそんなイメージで成長してきた。
 ここでいう豊かな土壌とは、基盤系の高度なモノづくりが集積する新潟県「燕三条地区」を指す。かつて三条市の工場に勤めていた斎藤社長は、板金加工、研磨加工を肌で学んだ後、念願の起業を果たした。昭和48年、弱冠22歳だった。斎藤社長はいま迷いなく話す。
 「溶接と板金加工でスタートしたんですが、恵まれていたのは、最終仕上げの研磨をはじめ、この地に加工ノウハウがたくさんあったこと。それをずっと見て、取り入れてきたことがウチの強みの原点です」。
幅広い技術が武器に
 進取の気勢も社運に味方した。新潟県で最初にレーザー加工機を導入(渋谷工業製、1984年)したのに続き、薄板から厚板までこなせる設備を順次整えて 仕事幅を広げた。板金業者として早くから3次元CADを活用したし、トルンプ(独)、サルバニーニ(伊)、BLMグループ(伊)など世界一流メーカーの レーザー加工機、マルチベンダー、パイプレーザー加工機も次々備えた。創業時から得意としてきた溶接は、ロボットタイプも含め現在40台近い溶接機を保有 する。
 「年間売上げを超える額を設備に回したこともあります」と斎藤社長は苦笑するが、ノウハウの取り込みと最新設備の積極導入が相乗作用を生み、受注競争力は確実に高まった。
 0.1~2.5mmクラスの薄板の高精度切断や曲げ。3.2mmを超える中厚板~厚板材の溶接加工。ステンレスの溶接では独自技術を持ち、さらに塗装や 組立工程もこなす。また切削加工でも引けを取らない。サプライヤーとして提供するワークは、数ミリ程度の微細部品から鉄道車輌用の大型ダクトなどまで。社 員数約60名の会社としては異色といえる「守備範囲の広さ」だ。

■セットメーカーを指向
 積極果敢な経営は、サプライヤーの生き様を超え、セットメーカーを指向するにいたった。最初に手掛けたのは集塵装置だ。地元の金属産業用をはじめ県内外 の火力発電所や産業廃棄物施設向けに30年以上の実績があり、高さ15㍍を超す大型タイプから中小型タイプまで提供できる。
 加えて「開発に15年を費やした」(斎藤社長)という板材用のバリ取り装置「メタルエステ」シリーズを4年前から本格的に売り出し、これが今、会社を支える柱の事業に育っている。
 「板金屋が追求した板金屋のためのバリ取り機」(同社)という同装置は、板材(ワーク)をベルトコンベアに乗せると、送り速度に合わせて複数の研磨ブラ シが板材に隈なく接触し、バリを取り表面研磨を行なうというもの。手動タイプなど複数のモデルをラインアップする。先に触れた「燕三条の研磨ノウハウ」 を、板金向けに機械化・自動化したものがメタルエステ、といえるだろう。昨年、メタルエステ専用のテクニカルセンターを本社隣に建設する一方、東京などで の全国展示会にも積極出展、斎藤社長は「メタルエステは順調に伸び、当社売上の4割を占める勢い」などと話す。
 そんな御社がいま最も重視することは?と聞くと、「何より社員教育」と返ってきた。
 「溶接などは人によって生産効率が異なりますが、私がいう教育はそういう意味だけじゃない。技術を追うだけではダメで、人間性を高めることでモノを作る価値も上る。ここを理解して仕事に打ち込める人財を育てることです」。最後は理屈を超えた現場の信念を感じさせた。