オヤジの喜怒哀愁

2015年7月25日号

ラテンの血が騒ぐ夏

4809

 本稿が掲載される頃は各地で梅雨明けになっている可能性が高いと思われるが、書いている現段階で小生の住んでいる地域はまだ梅雨明けしていない。しかし、トリプル台風が日本列島に接近する前の何日かは夏本番の暑さがあって、熱帯夜も記録した。まだ湿気が残っているようだけれど、あまり細かいことは気にしないことにして個人的な梅雨明け宣言を出し、満を持してスーパーにテキーラを買いに行った。テキーラはメキシコの酒である。
 以前は個人的な梅雨明け宣言を出すとカンパリ・ソーダを飲むのが吉例であった。カンパリはイタリアの酒である。これをソーダで割るとカンパリ・ソーダである。心と時間と懐に余裕のあるときはペリエで割り、 レモンかライムを放り込む。ペリエはフランスの天然発泡水で、この場合はカンパリ・ペリエだ。このほうがぜいたくなのである。ここ数年は、梅雨明け宣言の御神酒はテキーラのオンザロックを飲むのが恒例になっている。
 梅雨明け宣言でどうしてテキーラのオンザロックなのかと問われても合理的な答えなどない。残念ながらメキシコはもちろんイタリアにもフランスにも行ったことがない。しかし、こう並べてみてはたと気づいたのだが、なぜテキーラなのか、強いて言うなら「ラテンの血が騒ぐ」ということなのではないかと思う。
 筆者、どこからどう見ても日本人で一族郎党にラテン人はいない。流れてもいないラテンの血がどうして騒ぐのか。とはいえ、これは筆者に限らないのであって、夏になればあちらこちらでフラメンコ・フェスティバルやサンバ・カーニバルが開催される。日本人といえども結構みんなラテンの血が騒ぐのである。
 ラテン系、ラテン気質といえば細かいことを気にせず陽気に騒ぐ、合理主義を嫌い自由と遊びをこよなく愛す、というような意味で使われる。梅雨明けと同時に夏本番。じめじめした雨季から一転抜けた解放感。日本の夏の訪れはラテンの血を騒がせるものなのだろう。
 日本各地でもこれからが夏祭の季節本番である。夏から秋にかけて全国各地で神輿が上がり、山車が引き回され、夜店が立ち並ぶ。年1回のカーニバルに散財し、トマトを投げ合い、闘牛に熱狂し、歌い、踊り、酔いしれる祭好きのラテン人たちの姿とも重なるものがある。夏に飲むテキーラオンザロックの味が格別なのは、ラテンの血のせいなのだ。陽気に夏を乗り切ろう。