コラム

2015年8月10日号

 次世代製造を目指す動きが日本でも加速しているが、ふと足下を見るとその為の「人材」が不足する現状にぶつかる。曰く、ロボットの現場導入に欠かせないシステムインテグレーターが繁忙で極端に不足。曰く、IT化をマネジメントできる人材がなかなか見当たらない▼こんな話もあった。60歳前後のCAD/CAMメーカー社長。3Dデータの若手技術者が欲しい。記者さん、優秀な人を知らないか?…と。取材のなかの閑話のようで半ば本気の表情。「技術者不足。そもそも若い人はITに弱い」と意外なことをつぶやく▼聞くと、その昔、まだ紙テープにNCプログラムデータを打刻していた頃、手にしたテープの打刻穴を睨み続け、ここはおかしい、変えるべきだなどとやっていた古参の技術者が今も社内で多忙らしい。「彼らに頼りすぎ。倒れてしまうんじゃないかと心配なんだ」と苦笑してみせた▼実は、こうした話がいまの現場に結構ある。「ソフトが出す答えを疑問も持たず他のソフトや機械に移し換える。それでオペレーターといえるのか」と某部品加工業の経営者。若手技術者にもの足りなさを感じている▼解析も分析も作図も検証もIT任せ。ソフト操作に長けるが、疑ってかかることが無く応用が効かない。いざという時に対応できない…▼ITと製造の融合が大きな課題だが、それを真に導ける人材が量・質の双方で足りないとすれば、日本が得意としてきた「現場の知恵や工夫」が生きない。警鐘を鳴らす人間は決して少なくない。