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森鉄工、FB&多軸ワンショットプレス超繁忙

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 プレスの可能性を広げるファインブランキング(以下FB)加工。FBは「学」の世界で研究が盛んだが、FBプレス機を提供するメーカーは世界を見渡してもわずか4~5社、うち事業として成り立たっているのは「1、2社じゃないか」(事情通)とされる。とすれば「アジア向けにFBプレス機が繁忙」という森鉄工(森孝一社長)は、まさに世界のニッチトップだ。加えて最近は、やはり独自の多軸ワンショットプレス機が国内自動車向けに受注逼迫で大忙しだ。
 サーボ技術などが発達し、FBで無くても色んな加工が出来るようになったと言われるが、せん断面の美しさや平坦度の高さはFBに分がある。加工コストも低い―そう森社長が断言する。
 FB加工の価値は多くが認 めるところだ。だが専用マシンの普及が思うほど進まないのには理由もある。前提条件としてFB加工用に高度・高剛性な金型が必要なうえ、加工時の操作設定なども煩雑だからだ。平たく言えば「使える企業を選ぶ」面がこの機械にある。このため、FBプレス機のメーカーとして世界をリードしてきたスイス某社なども「今はメーカーからFB受託加工にシフトしている」(事情通)ようだ。
 そうしたなか、森鉄工のFBプレスは標準仕様で160~1200トンを揃え、アジア中心に目下海外で好調だ。技術に長ける国内金型メーカーなどとコラボを組んで専用金型の製作指導を現地で行い、また「30~40の操作手順をメモリー化し、タッチパネルで打ち込むだけの操作段取りにしている」(森社長)など、機械製作+αの「+α」部を徹底強化、市場を開いている。ちなみに「FBプレス機は今、9割が輸出」という。

■攻めに行く。 本社に研究棟も
 同社がFBプレス機の開発に着手したのは1981年(昭和56年)頃。当時同社は、大手電機メーカーの下請けから脱し、プレスメーカーとしての道を歩んでいた。「当初から顧客対応力がうちの持ち味だった。FBも顧客の要請を受けて開発。トリプルアクションの複合プレス機製作などで培った技術を活かした」(同)がスタートだった。
 現在は「FBの森鉄工」としてブランド戦略を打ち出し、韓国、インドネシア、タイ、ベトナム、北米など広域で営業を展開する。自動車や電機・電子に続き、医療や建築向けも狙う。切削・焼結・ワイヤー・曲げ・穴あけなどの加工からの工法転換もアピールする。「最近は設計段階からFB加工を考えて設計するケースが増えだした」(同)ことも強いフォローの風だ。
 近年はまた、多軸(4~6軸等)の油圧サーボプレスで、絞り・増肉・座グリ・FB加工など様々な加工を1工程で行う「ワンショットフォーミングプレス」(~1000トン)にも注力する。これが技術者の間で高評価を得ており、学会や工業会から複数の技術賞を受賞した。こちらは国内の大手自動車部品メーカー向けが主流。既に全売上の4割近くを占めるまで成長し、売上の5割に達するFBプレス機とダブルウイングを形成する。
 従業員120名の中小企業で見込み生産はゼロ。完全受注生産であり、現在は「受注をこなすのに精一杯」(中堅社員)で余力には限界もうかがえる。しかし攻めの姿勢は失わない。活発な海外営業に加え、生産面も外注拡大などで対応する考え。今年10月(予定)には本社工場の隣接地約300平方㍍に研究開発棟(仮称)を設け、FB機やワンショットフォーミングプレスの展示・実演・PRを行う。7月末の取材時には基礎工事が始まっていた。
 森社長は「FB、ワンショットプレスに続くもう一つの柱を作ってみたい。開発依頼はいろいろある。それとアフターサービス事業を強化していくつもり」と話していた。
(写真=海外で好評のFB機に続き、多軸サーボ油圧プレスが国内で繁忙だ)