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安川電機「ロボット村」オープン

オープンな対応に、絶えない見学者

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 世界トップクラスのロボットメーカー、安川電機(津田純嗣社長)が、創立100周年事業の柱として今年6月1日、北九州市JR黒崎駅の目の前に広がる本社敷地に「ロボット村」をオープンさせた。村には野球場ほどの面積を持つ横長の緑地帯―YASKAWAの森―があり、これに隣接して、予約で一般見学可能な「安川電機みらい館」をはじめ、「3棟のロボット工場」、「本社棟」、「厚生棟」が点在する。オープンから約2カ月、村はロボット技術の最先端と活用の可能性を、一般社会へ伝え続けていた。

■みらい館 楽しさと凄さ
 しなやかで柔らか―。安川電機みらい館を見学すると、ロボットのイメージが変わるはずだ。
 ロボットダンスにみられるコチコチ・カクカクの動作ではもはや無い。ダンスでいえばヨガ舞踏のように滑らかでアクロバチック、しかも高加速&ハイスピード&リズミカルにパフォーマンスや作業を繰り返す。特に最新ロボットは、人の腕から手首にかけての実際の運動軸の数と同じ「7軸」仕様であり、腕をねじらせるなどの動作もできる。ロボットの7軸化を世界で初めて可能にしたのは同社である。
 みらい館では様々なロボットパフォーマンスを見ることができる。今年5月末に同社が発表した重さ4キロ強の超小型多関節ロボットによるミニカー組立てもその一つ。6台の小型ロボを密集して設置し、左右から流れてくるミニカーのシャーシー、タイヤ、内装品、窓などを掴み、ロボット同士が協調して組立てる。繰り返し位置決め精度約0.02mm、動作加速度は同社従来の小型ロボ比2倍以上あるといい、組立時間わずか9秒のハヤ技を永続的に繰り返せる。この小型ロボは研究開発段階で発売時期など未定だが、近い将来、モバイル機器をはじめとする量産小物製品への部品装着などに活かせそうだという。
 3階建てのみらい館では「ヤスマル君」という名のロボットとその仲間のロボが方々で活躍していた。来場者に挨拶し、説明役を買って出て、コミカルに踊ってもみせる。一方では真剣(?)に密室で劇薬を調合する。ロボット活用の広がりが自ずとイメージされた。

■工場ロボットがロボットを作る
 ロボット村の3つの工場のうち、第1工場は「ロボットがロボットを作る」工場だ。可搬質量20㌔グラム以下の小形ロボの生産に特化し、能力は月産約1000台。撮影は厳禁だが学生から社会人まで、取材時も多くの見学者とすれ違う。ここでもロボット村のコンセプト「開かれた場所にする」との考えが行き渡っていた。
 工場はロボット化によって品質の安定がはかれたという。ネジの取り付け一つをとっても、締め忘れ等のポカミスがなくなり、締めのトルクも一定に保てるからだ。
 ラインで目を引いたのは周囲のロボットよりひと回り大きく見えた「双腕ロボ」だった。片腕7軸、両腕で14軸。これに腰部を回転させる1軸を加えた15軸の動作で、前後・左右・上下に置いた30種もの部品を製造中のロボットに装着する。さしずめラインのなかの親方といった貫禄だ。
 基本、ロボットがロボットを作るが、配線回りだけは人手に頼っていた。「ケーブル等は細かい隙間に這わせるなどして装着する。こうした作業は人間のほうが上手。今後の課題ではあるが」とロボット事業部の前川昭一事業企画部部長が話した。
 クリーンロボを製造する第2工場と、自動車向けを中心とする中・大形ロボ製造の第3工場すべてあわせた工場3棟の生産能力は月2200台。前川部長は「受注生産なので常にマックスを生産しているわけではないが、恐らく世界にも例の無い高密度のロボット製造拠点」と話す。
 しかし、さらなる効率化・量産化も狙う。海外需要の伸びに対応し、ロボットの鋳物やアルミ部品を作る中間事業所(福岡県中間市)に一部を移転すると決めているそうだ。つれて、完成形にみえるロボット村も、いろいろ変化が出てきそうである。
 「学生から外国人まで見学希望者が絶えない」(広報・IR室)というロボット村。ビジネス視点からは「自社のここでもロボットを使えるなどを感じて欲しい。また省人化だけでなく、自動化によって品質が上がることを確認していただければ」(前川部長)としていた。