コラム

2014年6月25日号

 技能コンクールの常連校と知られる都内某工業高校へ交換留学でやってきた韓国の生徒が、実習室に並ぶ非NCの古い汎用工作機を唖然として見渡し「こんな時代遅れの教材(機械)はナンセンス」と訴えたそうだ。母国ではコンピュータによる先端の設計・製造を学んでいた。古株の日本人教員は「人の技術こそが最後にはモノを言う」と説いたらしい▼このやり取りをどう捉えるか、取材先の製造現場で色々意見を聞いた。多くは「最初は汎用機で技術と機械構造を教えるべき」。もっともだが「いや、確かにもうそんな時代じゃないね」の率直な少数意見が今を射ているようにも思える▼農村から都市に来て、工場で働くようになりました。断熱素材の作業着と手袋を身につけ機械を運転し、被削材を交換しています…。この中国の若い女性は「面粗さナノオーダーの難加工を日々こなしている」そうだ。ナノが百万分の1mmであることさえ知らなかった彼女を、ここでも古参の日本人技術者がサポートする▼果たして、基本さえ知らないが「できてしまう」現象が現代で広がっていると実感されないか。記者とて同じ。書けない漢字を日々PCで打ち出すのは小生だけであるまい。考えるほど不自然で、地に足の着かない頼りない、危なっかしい状況が足下に広がり、黒々した死角さえみえる。この死角は埋めたいところだが、概してその行為が、今のビジネスとはトレードオフの関係にあることが問題だろう。