News

「近大ものづくり工房」が創設

型技術の継承と進化、地域連携で

 近畿大学が大阪東部地域の中小ものづくり振興の新たな方策を打ち出した。今年4月に開設した理工学部の地域連携先端研究教育センター「近大ものづくり工房」だ。(一社)金型協会(斉藤栄司会長)が8月26日に同大学で開催した金型技術大学・平成27年度モノづくり支援講座では、参加した約40名の金型生産関連事業者らにその概要について施設見学を交えながら紹介した。
 近大ものづくり工房では学内外からの研究・調査、工作・試験を受託するとともに、企業・教員・学生の新たな交流の場を提供する。
 機械工作実習室には安田工業の新型5軸MC(YMCシリーズ)のほか、オークマのNC旋盤、ファナックの射出成型機、三菱電機のワイヤカット放電加工機、レーザー顕微鏡など最新設備を導入。原田孝センター長(理工学部教授)は「プラ型ならば、型設計から製造、解析評価に至るまでここで全て行える」と胸を張る。同実習室は以前から教育と地域連携に活かされており、学生金型グランプリの加工に活用されているほか、平成26年度の依頼加工は144件、製品個数は2414個に至ったそうだ。
 アジア初導入と言う高精度デジタル計測システム(ATOS Scanbox)も設置している。振動や温度変化など周辺環境の変化を検知して補正し、測定後の3Dデータは任意の位置での切断図も表示可能。地域の金型生産者からは「親世代の金型を計測してメンテに活かしたい」、「型を処分する前にデータで残したい」という利用ニーズがあるそう。「1回目の測定は無料で、2回目以降も学生のバイト料程度」(近大)とリーズナブルで、解析ソフトもフリーで利用できる。

■人の交流、連携の核に
 センターの前身となったのは大阪東部地域連携による先進的な金型技術の高度化研究「近大発・金型プロジェクト」(平成24~26年度の文部科学省支援事業)。同プロジェクトを主導した理工学部機械工学科の西藪和明准教授は、「大阪東部地域には約700社の金型事業所(4名以上)があり、その集積率は日本最大級。地域の財産である金型技術を継承し、材料・設計・製造の3分野融合研究で高度化を推進したい」と熱を込める。3年間の研究では熱可塑性CFRPの成形と耐衝撃性評価や加熱プレス成形、熟練者による金型磨き技術の自動化など多分野の研究が産学連携で進められた。
 連携の手法もユニークだ。前述の受託検査・研究のほか、地域の金型生産者が大学に足を運んで金型製造の基礎から学生に指導する「金型寺子屋」、大学院生の専科では金型企業に勤務する形で協働研究を進めつつ実技を磨くものなど、人の交流をメインに据える。金型生産者と研究者がざっくばらんに交流する「型ろう会」では、技術から人材確保に至るまで様々な話題があり、地域の課題とニーズを産学で共有しやすくなった。同プロジェクトは近大ものづくり工房に発展し、さらに「大阪東部地域金型デザインセンター」(仮称)の創設を目指し、さらなる進化を模索中だ。