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エクセディ、工場オペレーションにIoTを駆使

データと知恵を融合、不良ゼロ実現へ

exdy AT車用部品のトルクコンバータとMT車用部品のマニュアルクラッチで世界トップクラスのシェアを誇るエクセディ(久川秀仁社長)。2014年度の連結売上高は2560億円で、大金製作所から現社名に変更した95年の売上高(1026億円)から約2.5倍にまで成長した。グループの拠点は世界24カ国に42社。その生産技術を先導する国内マザー工場で、IoTを駆使した次世代の工場オペレーションが始まっている。
 生産技術本部の小島義弘本部長は「省人化のための単なる自動化では不十分。IoTを駆使した自動化で、人の仕事はより高い次元へとシフトさせていかねば熾烈化する世界競争に打ち勝てない」と断言する。
 その「勝てる生産技術」の最新例が、9月半ばに寝屋川本社工場に導入されたクラッチカバー(CC)の組付け自動化ライン。クラウドベースの新生産管理システム「RE-IS」から流れる生産計画とダイレクトに連動し、リアルタイムの計画台数に応じて固定冶具やパンチ、金型の段取り替えを自動で行いながら約70種類のCCを自動で組付けられる大型装置だ。最も難しい組付け作業を完全自動化したことなどで、「量産開始時には従来の7人から2人にまで人手を減らせ、人による品質のバラつきが無くせる」(生産技術本部)とみる。
 装置による自動組付けの流れは以下の通り。ワイヤーリング等を組付けてクラッチカバーのタブを曲げる工程では、固定冶具を用いつつ高性能カメラによる画像で位置を判定しながら自動で部材をセット。組付け後はコンベアでカシメ工程に流れ、カメラで位置判定してパンチ締結し、締結後のリベット径も画像で測定する。
 ラインの終盤位置には検査工程もあり、ダイヤフラムスプリングの先端高やバネ荷重が規格内に収まっているかを自動で検査する。回転のアンバランス量確認も自動で行い、NGの場合は適切なウェイトを溶接して補正し、再測定する流れ。これら組付け・検査時の測定情報は装置内で個体別に印字されたQRコードで管理される。

■知のケイレツ強化へ
 小島本部長は「以前はロット単位の管理だったが、QRコードによる個体管理でトレーサビリティを強化できる。不良発生時に個体を絞り込めるのはもちろん、その部品の加工・測定情報と機械の稼働情報など周辺状況のデータがあれば不具合の『犯人』を追える。集めたデータに熟練者の判断を加えれば、不良発生の未然防止が適い、機械の異常発生防止策も講じられる」とみる。QRコードによる個体管理は本社工場全体、上野事業所(三重県)でも進展しており、「ビッグデータと人の知恵を融合し、不良ゼロのライン構築へ」と意欲的だ。
 さらに、「知のケイレツ」強化の構想も示す。現時点でエクセディに納入される部品の検品情報などはロット単位の管理だが、「QRコードによるトレーサビリティ強化や不具合分析が当社で有効に働けば、上下サプライヤー全体に取組を進め、ケイレツの品質強化で日本の部品産業の競争力向上を進めたい」と展望を話した。
 ビッグデータの活用については、グローバル生産拠点の生産・品質・保全情報を現場から参照できるシステム「EXPRESS」もポイント。これは、大型モニターやタブレット上で、拠点別の1時間ごとの出来高や不良率、品質情報をチェックできる「見える化」システムだ。画面上ではラインのQC工程表や、金型の加工・検査情報やメンテ履歴を個体管理する「金型カルテ」も確認でき、不具合の対処や予防もしやすくなった。
 金型の技能伝承にもITツールを活用する。熟練者の組立ノウハウをアニメーションで見せる教育ツール「VPS」を経験の浅い者を対象に用いた結果、「組立作業が34%スピードアップした」という。さらに金型設計部門でも3Dデータ化と標準化による設計リードタイム半減を進めるなど、IoTを駆使した生産改革が進展している。 

(写真=9月半ばに寝屋川本社工場に導入したクラッチカバーの組付け自動化ライン)