コラム

2015年10月25日号

 本気で頑張っていればやがて周囲も応援してくれる、そう教えられてきた。このことを見事、地で行ったのがラグビーワールドカップ日本代表だった。世界一という練習量を4年間黙々と必死にこなして大会に臨み、その頑張りの成果が強豪国・南アフリカ戦における奇跡の勝利につながった。このスポーツをよく知らない人にも感動を与え、ラグビー応援熱が国民の間に一気に沸騰した▼ほんの数年とはいえ、ラグビーに魅せられプレーした経験のある小生に言わせれば、前へ、右へ、左へ、5回も10回も攻撃を継続し、守備の隙を作って陣地を奪おうとした正確な連続プレーこそが、華麗なトライに劣らぬほど見事で感動的だった▼何度倒されようとも仲間が素早くボールを守って次のアタックに向かう。ジャパンの連続攻撃にストイックな信念がみえた。相手はもう恐怖さえしたのではないかとひそかに推測するが、いや、これ以上は素人として口幅ったいから止めよう▼ただ、自分が何故、どのように感動したかはよく覚えていたいと思う。早速、選手がCMに引っ張りだこなどと、プレーヤーを芸能人のように扱う傾向もみられるが、まあいつものことだからそれはそれで仕方ない。けれど自分の感じたものが、そんな情報の渦に巻かれ別のものにならないよう気をつけたいものだ▼昨日の情報が今日には陳腐化してしまう現代にあって、個人の素直な感動の経験は、心のどこかに正確につなぎ止めたいと思う。人が人に自然と感動する。これほどの貴重な経験はそんなに多く無い。