連載

2015年10月25日号

「反応管」の三次元加工で、新分野を拓く

新工場を建設し、加工設備を拡充
大正精工[金属加工、製缶溶接、土木建設工事、機械器具設置業]
大阪府枚方市

 大正精工(本社・大阪府枚方市、與〈あたえ〉義廣社長)は高品質な切削加工とスピーディな納期対応を柱に攻めの経営を展開、今年には新工場を建設し、最新の立形旋盤、マシニングセンタ(MC)等の大型工作機械を相次いで導入し、新たな事業展開に取り組んでいる。
 同社は、1950年の設立以来、金属製品の切削加工を中心に、建築土木用資材からプラント用の管等の加工を展開。主力取引先であるクボタの建築土木資材である「地滑り抑止鋼管」や鋳鋼事業の「反応管」加工などで、取引実績を積み上げ、強い信頼関係を構築している。
 今年、6月には本社敷地を拡大し、新工場を建設。既存工場との2工場体制で、加工能力を大幅に向上している。新工場には、オークマの立形旋盤「VTM200」、OKKの5軸MC「VP900-5AX」等の最新工作機械を導入したのに続き、「ものづくり補助金」を活用し、11月にはオークマの複合加工機「MULTUS B400」を設備するなど、大型加工の需要増に対応した設備増強を積極的の展開している。
 與宗一郎専務取締役は、「新工場建設は、クボタをはじめ、新たな取引先からの受注増加に対応したもので、今後も加工能力、加工範囲の増加・拡大に取り組むなど、攻めの経営に徹する」と強調する。
 同社では現在、「反応管の接続部の三次元加工体制の構築」という新事業に取り組んでいる。
 「反応管」とは、石油化学プラントで使われる耐熱鋳鋼製チューブ。エタン・ナフサを熱分解してエチレンを取り出す装置で使われるクラッキングコイルや、ナフサを改質して水素などを取り出すリフォーマーチューブ等の種類がある。製品は使用されるプラントごとに形状が異なり、遠心力鋳造で製造したパイプを溶接して組み立てる。クボタの生産拠点は枚方製造所で、独自の技術開発により高い評価を得、世界トップクラスのシェアを確保しているという。
 高い競争力を維持するには、新たなチャレンジが不可欠だ。高品質な反応管の製造工程の効率化を図るため、「三次元加工が必要な接続部の加工」の工程を担当することになった。従来の工程では管の端と端をつなぐ二次元加工で対応していた。しかし、プラントにより形状が異なる反応管加工での効率化を図るため、管の胴体に管の端をつなぐという新工法を導入することになったという。管の胴体と管の端を接続するには、曲面加工(三次元加工)が必要となる。この加工に対応するため、「ものづくり補助金を活用し、旋盤とマシニング機能を備えたオークマの複合旋盤の導入を決めた」(與専務)という。
 反応管の製造は、(1)製鋼、(2)鋳造、(3)型抜き、(4)熱処理、(5)内面加工、(6)ガス切断、(7)開先加工、(8)接続部加工、(9)溶接、(10)製品-の工程が必要だ。
 大型ワークの切削加工と製缶溶接という同社の得意技術に複合加工という新たな加工技術が加わることにより、「反応管の製造工程のうち、開先加工、接続部加工、溶接の工程を一貫して対応できる体制が可能となり、受注拡大と信頼関係の一段の深化が図れる」と與専務は強調する。主力となる反応管は、多くの化学製品の基礎原料となるエチレンを製造するための管で、石油化学プラントに設置される。経済産業省の調査によると、エチロンを製造するプラントの新増設計画は、2018年には12年末比で27.7%の能力増加が計画されているという。
 世界市場での需要拡大が見込まれる反応管の生産効率と品質の向上が求められ中、開先加工、接続部加工、溶接までの一貫体制とともに、次の一手として計画しているのが品質保証体制の強化だ。
 與専務は、「5軸加工機や複合加工機の導入に伴い、主力得意先のクボタをはじめ、他の顧客からも、高精度・高品位な加工の受注拡大が期待できる。三次元測定器の設備も予定し、品質保証の体制を強化。顧客との信頼関係を深めていきたい」とキッパリ。さらに、「競争力ある会社に成長することで、社員も自信を持って仕事ができる。期待され、信頼される会社を目指す」と前向きだ。