コラム

2015年11月10日号

 人工知能(AI)、ロボット、自動化に関する記者発表の案内が増えている。欧米の大手ソフトウエアから国内ベンチャーまで、こうした分野に賭けるプレーヤーが相次ぎ具体的成果を出しだしたようだ。高度な自動化をいかに容易に手中にするかという点で、研究開発のベクトルは基本、同じ方向にある▼ただ同時に、欧米系の開発スタイルと、国内企業のそれとが異なっていることにも気づかせられる。例えば、設計の自動化で世界を引っ張ってきたフランスD社は、このほど都内で会見を開き、AIを活用し、治具開発などアイデアを必要とした工程も含め「製造の自動化」を事業として進めると発表した。注目すべきは、こうした事業開拓の為に同社が過去、毎月ほぼ一社のハイペースで企業買収を続けたことにある▼クルマの自動運転に不可欠なセンサー技術で自動車部品世界トップ級へ急成長のドイツC社も、過去15年で100社ほどを買収した。概ね自助努力をベースにする日本企業と、必要な技術資本を買って合理的に不可能を可能にする欧米企業の違いがみえる。これは即ち、農耕民族と狩猟民族の差異だと書けば、飛躍しすぎか▼評論家の故・澁澤龍彦氏は、自然に親しみ自然と合一して生きようとする東洋の理想と、自然を征服し、その上に人の文明を築く西洋の人工楽園の違いを鋭く観察したが、現代ビジネスにおいては後者由来のモデルが幅を利かせている。だが生き方や世界観との絡みで日本では馴染みにくい。日本らしい「勝てるモデル」の出現を密かに期待したいが…。