オヤジの喜怒哀愁

2015年11月10日号

猫の逆襲

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 派閥勢力図に歴史的転換点が近づいているという。政界の話ではない。ペットの世界の話だ。
 ペットフード協会というところが毎年全国調査しているアンケートで、ペットとして飼われている犬と猫の飼育数が近年、急接近している。最新の2014年10月時点の調査結果では、犬が1035万匹、猫が996万匹とまだ犬のほうがわずかに多い。しかし、5年前に1200万匹だった犬の減少傾向が顕著で、これに対し猫の数は微増傾向が続いているため早晩、逆転するとみられている。
 1990年代後半にミニチュアダックスフンドに代表される小型犬のブームがあり、その時に飼い始められた犬たちが寿命を迎えているという事情もあるにはあるが、調査結果のいろいろな項目を見ると、犬派と猫派が拮抗している理由はどうもそれだけではないようなのだ。
 まず、同調査で注目したいのは生涯必要経費という項目である。これは、ペットの年齢ごとに算出した平均支出金額を平均余命まで足し上げることによって算出するもので、生涯にかかる必要経費は犬が119万円、猫が70万円である。猫のほうがお金がかからないのだ。
 一方、ペットを飼育している人の年齢を見ると犬猫ともに50代が最も多く、50代以上が全体の6割と高齢だ。朝夕の散歩など、犬の飼育が体力的に負担になっている姿が想像される。
 ペットをどうやって入手したか、という項目もおもしろい。犬はペットショップで購入したという回答が比較的多い。猫は拾い猫である。ペットの種類を見ると、犬にはミニチュアダックスフンド、チワワ、トイプードルといった人気種があるが、猫はほとんどが雑種でこれといった人気種はみられない。性格的には、飼い主に対してどこまでも従順な犬は誠に愛すべき存在だが、適当な距離感をもってつき合える猫には猫のよさがあろう。
 こう見てくると、どうも犬を飼うよりも猫を飼うほうがお金がかからない、散歩などの手間もかからず手軽、気楽という事情が透けて見える。
 無論、ペットはお金や手間のことだけを考えて飼うものではないし、なかには犬も猫も両方飼っていますという人もいるので一概にはいえない部分もあるのだが、飼い主に従順だが手のかかるブランド犬よりも、雑種のくせに吾輩は猫であると威張っていても手のかからない猫を選ぶというのは、なんとなく今の時代を反映している気がするのである。