コラム

2015年12月10日号

 はや年の瀬。恒例の流行語大賞や年間10大ニュースなど、テレビなどが一年を振り返って報道する総括の時期でもある▼モノづくりの世界を回顧すると、今年は「6重苦」の足枷が外れ、少しずつ国内回帰が広がり、全体ではまずまずの年だったといえそうだ。政府の後押しもあって設備投資は底堅く、機械などの若返りも進んだ▼そんななか、免震ゴムや自動車環境性能、基礎杭工事をめぐるデータ改ざんなど、企業コンプライアンスの問題が歴史ある企業から相次いだことは残念だった▼信用を無くすのは一瞬、失った信用を取り返すのは一生かかると言うが、不正が明らかになって世間の評価が一変し、昨日までの企業イメージなどどこかへ吹き飛んでしまう▼だが、そういう状況に追いこまれると分かっていながら結果として不正に走らざるを得ない現実のあることも、一方で見落とせない▼「やるだけやる」が素人なら、プロは「やって結果を残す」が課せられる。そのギリギリのところで、結果を求め不正という禁断の蜜に止む無く手を伸ばした状況が、一連の企業不祥事の背景にほぼ共通してありそうだ。決して世間を欺く確信犯ではなかったはず▼もちろん許されるわけではない。ただ「技術革新」の時代、スピードも正確性も品質の作り込みも何もかも、ハードルは過去と比べはるか高くなっている▼高いハードルを越えるという絶対的なミッションが、その手段の正当性を危うくさせていると思うがどうか。技術革新の名のもと、プレッシャーが渦巻く現場は少なくないようだ。