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りそなアジア・オセアニア財団新春セミナー

ポストバブルの低成長続く中国「人民元や金利動静に注視必要」

 「中国の真のGDP成長率は5%を切っているのではないか」―衝撃的な推計を紹介するのは、津上工作室の津上俊哉社長。(公財)りそなアジア・オセアニア財団が1月14日に大阪市内で開催した新春セミナーで満場約400人の聴衆に向けて、中国経済の課題と展望について講演した。
 中国が公式に発表しているGDP成長率は2015年7-9月時点で前年同期比6.9%だが、津上社長は「比較的正直な統計」とみる国有企業売上高の伸び率が2年前の半分以下に落ち込んでいることや電力消費、鉄道貨物量の伸び率が急低下する一方で間接税収が堅調なことなどを指し、「消費・サービス関連は悪くないが重厚長大産業は深刻な状況。本来の経済成長率は5%以下だろう」と推計した。
 「2009年以来の高成長は投資バブルの産物で、投資と借金頼みの成長かさ上げ路線はもはや限界。崖っぷちに立った共産党を救おうとするリリーフエース・習金平国家主席が音頭を取り低成長率を認めた『新常態(ニューノーマル)』は一応の成果をあげているものの、成長低下の痛みに負けて長期金利低下のための金融緩和を頻発し始めたら赤信号。投資頼みに逆戻りする恐れがある」
 一方で、地方経済改革を断行して債務を圧縮したこと、昨年の株バブル崩壊で大損したのは主に国有企業であり個人口座の被害が少なかったこと、日本の不動産バブルと異なり大幅な地価崩落は起きないとみていることなどについても説明した。

■中国ショックの危険も
 短期・中期の経済動向としては、「投資バブル後遺症で5~10年は経済の下振れ圧力が働き、少子高齢化の進展で2020年後半以降は実質経済成長の維持が困難になる。しかし、急激な中国経済崩壊もないだろう」との見立てだ。
 「中央財政の債務はGDPの20%で日本(同240%)より健全で官の経済グリップは強い。投資へのアクセルは踏めないが、当面のポストバブル期を何とか乗り切る力はある。共産党三中全会決定(2013年1月)で打ち出した社会保障の充実や減税が進めば社会の不安定さに対しても一定の蓋(ふた)ができる」
 ただ、世界経済を震撼させるチャイナショックのリスクも指摘した。「2010年代前半の世界経済は欧米の金融量的緩和と世界中に需要を提供する中国の高成長という2つの順風に支えられたが、これが逆風に変わる。中国経済の減速に加え、米国の利上げと、元安防止のために中国が米国債を売るタイミングが重なれば想定外の事態となり、周辺国・途上国に痛打を与える可能性も見え始めた」という。
 また、「低成長路線の中で、生産性の向上が今後の成長エンジン。ネット企業の隆盛など国内内需はまだ伸びる見込み」、「体制存続を最優先に安定路線を模索する習金平政権は外交の火種も避けたいのが本音」など、事実関係を整理した鋭い知見も紹介した。