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産業革命に対応、横断的制度を討議

ビッグデータやAI分野での競争・知財戦略、経産省が研究会

 ビッグデータの増大や人工知能(AI)の技術革新が進む中、経済産業省の新産業構造部会で、新しい産業構造に対応した競争政策や知的財産政策等の横断的制度の在り方について検討を行う必要性が提唱されたことを受け、1月15日に「第4次産業革命に向けた横断的制度研究会」を開催。デジタル市場の特徴や海外での制度対応、競争や知的財産政策の課題等をテーマに、今後、議論を深めていく方針だ。
 デジタル市場では、インターネット等で収集されたデータ分析に、AIを活用した新製品・新サービスが開発され始めている。経産省によると、こうした新製品・サービスの提供や顧客獲得等の活動を通じて、新たなデータ収集や分析が行われ、製品・サービスが改善・高度化し、「さらなる顧客を得るというイノベーションの好循環が生まれつつある」(産業政策局産業組織課)としている。
 こうした中、特定の有力事業者に取引とデータが集中する可能性があると同時に、「利用者への広告収入を得たり、付加的なサービスのみから課金するなど、サービス提供と対価を得る相手が異なる新しいビジネスモデルも生まれている」(同)と分析。また、立体スキャンと3Dプリンター技術の進化・普及に伴い、これまでデジタル化されてきた音楽や映像などを超えて、立体造形物の複製までもが容易になるだけでなく、「モノ」の物理的な移動が「データ」の転送に置き換えられ、「簡単に国境を越え、知的財産の保護のあり方が問われる可能性もある」(同)と指摘している。
 こうした問題意識から、研究会では競争政策や知的財産政策などの横断的制度の課題と今後の対応について、月1回、検討を続ける方針だ。

■データの集積・利活用で優位性を強化
 研究会は、東京大学大学大学院の大橋弘教授を座長に、各分野の16人のメンバーで構成。今後、第4次産業革命の戦略や、2030年代を視野にした主要分野の将来像・産業構造の姿、技術ロードマップ等、6つのミッションで討議を進める予定だ。第1回の会合では、事務局よりEUや米国での対応状況を説明した後、(1)競争政策(2)知的財産権(3)データプライバシー(4)ネットワークの中立性・プラットフォーム等を短期・長期の観点から議論したほか、企業の競争力向上の源泉として、(1)新たなサービス・製品の創出(2)供給効率性の向上(3)競争優位を維持・強化し、収益を最大化するための戦略が需要と定義。データをリアルタイムに取得・分析し、実世界にフィードバックすることで飛躍的に効率性を向上できるとしたほか、競争優位を維持・強化するためのカギは、データの集積・利活用であり、「データ」を「強み」と戦略的に結び付け、「好循環のビジネスモデルを構築するかが重要」等を提示、検討した。
 研究会は、月1回程度開催する予定だ。