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名古屋で国土強靭化シンポジウム

見える化と地域連携で事業継続力向上へ

 大規模災害発生時でも寸断されない強靭なサプライチェーン構築を目的としたシンポジウムが3月7日、名古屋国際センターで開かれた。公共団体や企業などの連携で事業継続につなげる取り組み「地域連携BCP」の重要性を中心に、企業が取るべき手法と手順などを紹介した。
 主催者を代表して挨拶に立った内閣官房国土強靭化推進室の永井智哉内閣参事官は、国土強靭化を「国家100年の大計」と表現した後、民間企業が個別に策定しているBCPに対して「近々認証制度をスタートする準備を進めている」と語った。
 慶応義塾大学の松川弘明教授(理工学部)はサプライチェーンの強靭化に必要なポイントとして、ネットワークと運営の見える化を上げた。
 「調達先の調達先、さらにすべての調達経路を知っている人は誰もいない。ボトルネックとなる企業が途絶したとき、サプライチェーン上のすべての企業が影響を受けてしまう。その大きさは間接被害や直接被害の10倍にもなる」(松川教授)
 調達先が途絶しても見える化ができていた場合、「バックアップサプライヤーに緊急発注して生産活動を継続できる。しばらくの間、利益が小さくなっても、途絶した企業が回復すると、バックアップの発注量はゼロになり、コストが下がる」とした。

行政、企業間の意志疎通を
 後半のパネルディスカッションは、地域連携BCPをテーマに産官学の各視点から議論が交わされた。名古屋工業大学大学院(工学研究科)の渡辺研司教授は、企業単独のBCPでは「取り組みに限界がある」として、企業間、行政・インフラ関係との連携で、各社の事業継続力を強化する必要があると語った。
 話題提供として紹介された愛知県臨海部にある豊橋市明海地区は、防波堤の外に開発された埋立地(堤外地)であることから、就業者全員の安全確保を最優先とした企業連携BCPを策定。地区機能の早期復旧で生まれる共通のメリットを具現化し、防災訓練を通じて「自治会が中心となってリーダーシップを発揮する必要性を実証した」(同地区防災連絡協議会の古海盛昭会長)。
 今年1月に豊橋市と実施した情報伝達訓練では、「官民連携の訓練に移行できた」「状況変化に伴う伝達情報の明確により意思疎通向上が図れた」などの成果が生まれたという。
 地区内企業が原材料供給のパイプでつながっている四日市市霞コンビナートも、今年1月に行政との情報伝達訓練を実施。地域連携BCPには、情報の共有化と適切な判断が必要とした上で、「今後は定期的な官民協議の場が形成され、着実にPDCAサイクルをまわしてステップアップしていくことが望まれる」(霞共同事業の後藤義彦氏)とした。
 名古屋大学減災連携研究センター長の福和伸夫教授は、「大事なことは当事者意識と地元愛。頭を使うだけでなく、汗をかいていくことも必要だ」と話した。