コラム

2016年5月10日号

 最後の椅子に座る者だけが勝つ椅子取りゲームと同じだよ。以前、ビジネスの現状を説明し業界の先輩がそう語ったことがあった。「2位じゃダメなんでしょうか」と詰問し顰蹙を買った某政治家の発言より以前のことだった▼昔から優勝劣敗などと言うが、スマホをはじめひと握りの勝者が市場を総取りする時代になったと、今はより強く感じられる。パワーゲームは業界の壁を超え広がっている▼問題はそのことが生む淘汰や格差、社会不安にあるが、その前に市場プレーヤーの多くが、最後の椅子を目指すサバイバルな戦いに参加せざるを得なくなった状況も考える必要がある▼ところが全く違う話も聞く。最近、介護に従事する若い人達と話す機会をもったが「価値観の転換が迫っていることを実感する」と言う。市場経済は曲がり角を迎えたとも断言する▼立場も、ふだん考えていることも違うから、なにが根拠で何を言いたいのか不明な点もあったが、話の内容は、あの、敬意を込め「世界一貧しい」と称されるウルグアイのホセ・ムヒカ元大統領の言葉とどこか重なっていた▼そう、言ってみれば肥大化する市場経済への不安や疑問に、ムヒカ氏の言葉が光を射し、世界の人の心を打ったのかもしれない。その不安や疑問はくだんの若い人のなかで解決され得るものと捉えられていた…▼豊かさはGDP等の数字だけで計れない。幸い、筆者の属する組織はパートナーを大事にし、共感しあい、分かち合って成長しようとしている。結果と同時に、成長の在り方が問われる時代になる。