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カドコーポレーション、研究開発型企業として自動成形機を製造

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 兵庫県南西部のたつの市。にょきっと背の高い工場は遠くからでも目立ち、初めて訪れるのに迷わない。セーリングヨット、パワーボードの製造、修理から事業を始めたカドコーポレーション(2000年設立、社員8人)の3階建工場は、1階部分の天井高が10mもある。事業内容は広がり、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)をはじめとする先端複合材の研究開発や製造・販売、近年は自動成形装置の製造までこなす。
 「おたくはいったい何屋さん? と聞かれることが多く、『板前です』と答えることにしています」と倉谷泰成社長は笑う。「調理法が変わると味が変わるように、工法が変わっても同じようなことが言える。当社は工法から考えるのが特徴」。売上の大半を開発で稼ぎ出し、いま量産はゼロという。大学の研究室の役割を民間企業が担っているように映る。
 サーボプレス、油圧プレス、超音波溶接機など成形加工に必要なひと通りの設備をもつが、とりわけこだわりがあるのはロボットだ。川崎重工業の130キロ可搬のロボットに次いで、2014年に独KUKA製の120㌔可搬のロボットを12kWのミーリングヘッドを付けて導入。同年にNASAやエアバス、BMWなどと同様に「KUKA OFFICIAL SYSTEM PARTNER」となった。日本企業では初という。自動化についてKUKAと情報共有しながら同社ロボットを顧客に提供するのがパートナーの役割で、ドイツ本社の専門家と直接話すこともできるそうだ。

■工法提案で必要設備を形に
 ロボットを含む自動複合材成形装置の開発・販売を主事業に据えたのは、「試作や形のない技術に対しては顧客は積極的に投資しないが、装置という設備投資には高額でも拠出できる」からだ。ロボットによる自動化ならシステムインテグレーターに任せればいいと考えがちだが、アームの動きに精通していても新素材の取り扱い方までは知らない。ではどんなすごい装置をつくるのか。「それは順序が反対。どんなモノをつくりたいのかを教えてもらえれば、こんな工法がありますよと提案できる。専用性の高い食品機械と似てるかも。顧客の求める設備を具体化するのが当社の仕事」。倉谷社長は明快に話すが、これまでに失敗はなかったのか。「ヨットづくりで創業したことが失敗。ヨットは顧客ではなく私がつくりたかっただけ」。
 倉谷社長は姫路市内の中学を卒業してヨットの造船所に入社後、ニュージーランドでヨットを学んだ。自らつくったヨットで最高峰のヨットレース「AMERICA’s CUP」の予選にもメンテナンスクルーとして参加した。根っからのヨット好きだ。
 先端素材を扱い、真空で樹脂を流すVaRTMなどいくつもの独自工法をもつが、新素材は金属や植物由来など相次いで登場。対応するのは簡単ではない。「素材に合う工法をまた新たに考えればいい。本質を見極めれば培ったノウハウを生かしつついくらでも改良できるはず」ときっぱり話した。