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溶接・接合技術の新潮流

さらに進む、工程短縮と省人化

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 4月中旬、インテックス大阪で開かれた溶接専門展示会「2016国際ウエルディングショー」。国内外の需要増加に溶接工の育成が追いつかない状況の中、アーク、スポット、シーム、レーザなど、強度向上と効率化を図った溶接・接合技術の提案が展開された。

■厚板をワンパスで
 多層盛りが当たり前だった厚板溶接を、たったワンパスで終えてしまう。ダイヘンが大阪大学接合科学研究所と共同研究した大電流炭酸ガスアーク溶接プロセス「D-Arc」に注目が集まった。
 生産コスト、溶接時間、開先断面積、ワイヤ消費量、熱歪みを最大70~85%削減する新工法は、担当者が「50年に一度の技術」と豪語するほど。最大出力1000A、供給速度毎分100mの片側1パス貫通溶接は、「溶接材料の奥深くまで潜り込んだ状態でアークが発生するので溶け込みが深い」という。一般的な直径1.6mm以下の溶接ワイヤを使ったことも話題にのぼった。
 システムは、1000Aトーチ、マニピュレータ、ロボットコントローラ、500A溶接電源2台、ワイヤバッファ・補助送給装置などで構成。2016年度内の市場投入を計画しており、販売価格は約500万円(ロボット除く)。自動機にも搭載可能で、2020年の東京オリンピック開催に向けて溶接工の人手不足が予想される建設鉄骨業界からの需要を見込む。

■スポットの可能性拡大
 自動車ボディなどに広く利用されているスポット溶接も進化した。
 自動車アフターマーケットで実績を重ねる大同興業が展示したのは、TECNA社の抵抗スポット溶接機の新機種。「スイッチひとつで自動的に最適な溶接条件を設定してくれる」という。センサー電流が板厚や材質を判断する仕組みで、NGが出た場合も次から自動調整して品質向上につなげられる。
 ロボットを使った「ワンサイドスポット」として、狭いスペースでの溶接を提案したのは不二越だ。上下両面からではなく、片面だけで加圧・通電することで、変形を少なくし、溶接ロボットのアクセス性を高めた。
 スタッフは、「コンベア上に置かれた部品をスポット溶接する場合、ワークの上下からガンを挟み込むための治具を用意するしかなかった。今回のような小型搬送ロボットとの組み合わせはあくまで一例。箱物などの溶接にも応用できる」と話していた。
 スポット溶接の応用として、電極ローラで均一に加圧しながら連続して点溶接するシーム溶接。高い接合強度で、ワークの薄板化にもつながるとされる同工法の提案も目立った。
 中でも、安川電機は小型化したシームガン(ナストーア製)による大型ワークの溶接を実演。強調したのは、オフラインシステムのCAM機能を使ったティーチング工数削減。ロボットの動作軌跡を自動で作成することで、シーム溶接のような連続溶接でも簡単にティーチングが可能という。さらに加圧や溶接条件設定をひとつの命令にまとめて指令・実行できる点もメリットに挙げた。
 「大きなガンでもピタッと位置決め」と謳ったファナックは、学習機能による振動抑制で溶接ロボットの利便性を高めた。剛性の低いハンドやワークでも位置決め停止の振動を抑えることで時間短縮(高速化)を図るのが狙い。同じ動作を18回繰り返し、揺れの少ない加減速を導き出す。無線加速度センサは付け外しが可能だ。

 

■高速化するレーザ加工
 アマダホールディングスが目玉として展示したのは、6軸多関節ロボットを使ったファイバーレーザ溶接システム。最大のポイントは、2kWレーザ発振器に新開発のビーム可変ユニットを搭載したこと。加工用途に合わせて最適なビーム形状をつくり、高速・低ひずみ溶接から滑らかな高品質溶接まで対応できるという。
 板厚1mmのSUSを使った高速重ね板溶接では、意匠面の裏側に補強部材を毎分15㍍の速さで貼り付けた。「出力を4kWから2kWに下げることで、コストメリット、ダウンサイジングができた。トライではなく、現場視点で『2kWでも十分作業できる』と感じてもらえるような内容にした」(広報部)。
 小池酸素工業は、定尺ハウジングタイプのファイバーレーザ切断機から6kWタイプを出展した。船体、橋梁、鉄骨、建機向けの中厚板需要を狙った新製品。毎分100㍍の高速移動で生産効率の大幅な向上を図った。輪郭精度を高めたことで、微細加工なしでシャープなコーナ切断を可能にした。
 次世代レーザとして関心が寄せられているダイレクト・ダイオード・レーザ(DDL)の実用化に向けては、パナソニック溶接システムが歩みを進めている。ブース正面に6kW/8kW発振器を参考出品。溶接ロボットと切断ロボットの2台に対し、「ビームスイッチで加工方法を瞬時に切り替えできる」とした。
 DDLで高速切断した後、異種材料の上下から金属材料で挟み込むリベット接合を実演。軟鋼とPET樹脂、軟鋼とCFRP、CFRPとアルミ、軟鋼とアルミといった複数の組み合わせで優位性をアピールした。