連載

2016年5月25日号

3Dプリンター、造形サービスなどで活発化

デジタル活用を後押し

 一時のブームがやや後退した感のある3Dプリンター(以下3DP)だが、造形受託サービスの分野では大手を含め再び動きが活発化している。この現象は「3次元データのフル活用」、「モノづくり変革」といった角度から捉えても注目できそうだ。
 5月13日、オリックス・レンテックと東レ・プレシジョンは、金属3DPの造形受託サービスで提携したと発表した。オ社は昨年5月から金属3DPを活用した造形受託サービスを開始、自動車や重工業向けなどに実績を上げていた。一方、東レ・プレシジョンは光学機器、半導体製造装置等の分野に精密加工部品を提供しており、両社は提携を通じ高度な金属加工技術を活かした高精度造形品製作と、受託から精密加工まで一貫したサービスの提供を行う。両社が保有する金属3DPを相互活用することで顧客への納期短縮もはかる。
 他方でオ社は、3DPによる受託加工のみならず、3Dデジタルツールを活用した製造業向け新サービス事業も進める。さらに今春にはロボットレンタル事業の第一弾として、スイスABB社・次世代産業用ロボットのレンタル(お試しサービス)もスタートさせた。3DPや次世代ロボット、またその活用に必要な3Dデジタル技術を組み合わせ、事業の拡大を目指す。
 この提携発表から3日後の5月16日には、CADベンダーのアンドールと、3DP試作製作を手掛けるアリエルが、戦略的な業務提携を通じ、「3Dデータセンター」と呼ぶ新事業をこの日からスタートさせたと発表した。
 「3Dデータセンター」とは、あらゆるものの3次元データを作成するサービス事業だ。3DPの特性にあった3次元データを、顧客が持つ紙図面、イラスト、写真、現物、またはCADデータから作成し、造形トラブルのない高精度な立体物を製作して提供する。ウェブ会議システムを利用し「3DCADデータを遠隔地おいても双方向で360度回転させながらリアルタイムに形状確認できる」ようにもした。

■モノづくり+α
 一昨年2月に経済産業省・新ものづくり研究会が試算したころによると、3DPの経済波及効果は2020年に全世界で21・8兆円まで拡大する。そのうち3DP(ソフト・材料含む)そのものが占めるマーケットは1割に満たない1兆円。試作開発プロセスなど生産性革新効果をほぼ半分の10.1兆円と見込んでいる。3DPというハードよりも、3DP普及によるモノづくり革新効果がはるかに高いというわけだ。
 他方、試作周辺では3DPを使った造形サービス以外にも、成長事業が散見される。
 「モノづくりのスピードよりも、ビジネスの全工程を網羅して、見積りから3次元データの活用、解析、加工時間、機械稼動状況、納期回答、工程管理までを自動化する自社のソフトウェアが最大の武器です」。そう話すのは、米国で99年に創業したプロトラブズの日本法人幹部。「最短1日の射出成形/切削加工」などと謳って製造業向けの展示会に積極出展する。「事業は全世界で好調。日本でも毎年30%以上の成長が続く」という。アンダーカットの対応等で自社と顧客の技術者が打ち合わせをすることもあるが、ザッと8割は自動的に仕事が進むようだ。
 同社は試作を中心とした受託加工業だが、「実態はソフトの会社」とキッパリ。この言葉が、次なる製造業の姿の一端を射抜いているようにも映る。