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2030年度の住宅着工、60.5万戸予測

地方部は4%減とハイペースで縮小、三菱UFJリサーチ

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングは「住宅着工とストックの中長期展望」と題したレポートを発表した。
 レポートでは人口動態と中古住宅需要を説明変数とする計量モデルを作成し、利用関係別、地域別に、2030年度までの住宅着工の予測値を導き出した。これによると、2015年度時点で92.1万戸だった住宅着工は今後、緩やかな減少基調で推移し、2030年度には60・5万戸と60万戸台前半の水準まで減少する見込みだ。今後の人口減少や高齢化が進む中で住宅の需要が縮小することに加え、良質な空き家の増加もあって中古住宅の取得件数が増加し、着工を押し下げる要因になるとみた。
 利用関係別も全て減少の見通し。持家は2015年度時点の30万戸から2030年度には20.6万戸へ、貸家は32.5万戸から16.9万戸へ、分譲は26.4万戸から22.7万戸へ、給与住宅は0.6万戸から0.3万戸へ減少すると推計した。
 地域別では、人口減少が進む一方で流出入が少ない地方部ほど早いテンポで着工が減少する見込み。2016年度以降の予測では、三大都市圏では年率2%減前後で減少するのに対し、地方圏では同4%減~4.5%減で推移すると見た。2030年度には、首都圏では25.3万戸、中部圏は7.6万戸、関西圏では11.3万戸、地方圏では16.4万戸まで水準を落とすと推計している。

■空き家率、30年度に23%に
 住宅ストックと空き家率についても、2030年度までの予測値を推計した。住宅ストックはこれまで増加が続いてきたが、住宅着工の減少幅が拡大することから、今後、その増加テンポは鈍化する見通し。一方で、居住世帯数が2020年度には減少に転じることから空き家の数は増え続け、空き家率は2013年度の14.1%から急上昇し、2030年度には23.2%にまで達すると推計した。
 地域別に見ると、住宅ストックは2030年度まで全ての地域において増加が続くものの、地方圏など住宅着工の減少幅が大きい地域ほど増加テンポは鈍化する見込み。そのため居住世帯の減少テンポが速い地方圏でも空き家の数は三大都市圏と比べて緩やかな増加テンポにとどまると見込まれた。この結果、2030年度時点の空き家率は首都圏では22.2%、中部圏では23.6%、関西圏では23.9%、地方圏では23.5%と全ての地域において上昇すると推計した。
 レポートでは、「日本の場合、空き家の増加は中古市場の拡大だけでなく、放置物件の増加も意味する」と問題を提示する。さらに、「今後は良質な中古住宅は残しつつも、不要な空き家を滅却し、新しい住宅を建てていくといった住宅ストックの新陳代謝の活性化と、それによる質の向上が必要不可欠となる。中古住宅の流通市場の成長を妨げるものであってはならないが、現在進められている空き家の有効活用を促す政策に加え、空き家の建て替えや滅却を促す様な一層の政策的後押しが期待される」とした。