連載

2016年6月10日号

歯車加工ひと筋で28年

極小~大型歯車まで専門に徹す

テイコク[歯車加工]

茨城県石岡市

 昭和63年の設立から約28年、歯車の受託加工ひと筋に賭けてきたというテイコク(中嶋静社長、従業員21名)を訪ねた。
 工場内にはホブ盤をはじめとする歯車専用加工機が70台近くズラリ。これ以外にもワイヤ放電加工機、砥石成形機、歯車専用測定機などがあり、従業員数に対する機械設備の数の多さが目に付く。「常時、オペレーター1人で4~5台の機械をみている」そうだ。
 日頃製作する歯車は、直径2センチ位から1メートルクラス(歯の大きさを示すモジュールで1~16モジュール)まで様々。製作個数も「1個から数千個までを受けている」(中嶋社長)そう。仕事は、大手建設機械メーカーからの受託加工がほぼ9割を占めており、キャタピラを回転させる重量7トンクラスの歯車製作に携わったこともあった。
 ふいに気づいた。工場には前加工に必要な旋盤もあるにはあるが、歯車機械と比べ随分数が少ない。聞くと「旋削は協力会社に回すことが多いですね。うちは歯車の加工に特化しています」(同)と返ってきた。

■厳しいマーケットで
 総論的に言って、歯車加工の世界は厳しい。電動化やサーボ化により歯車の使用量はずっと漸減傾向だ。「中国で建設機械の需要がワッと盛り上がった頃は忙しかったけど、需要の初期を過ぎて落ち着くと、加工の現地化や価格競争もあって事業が伸び悩む。そんなパターンを何度も経験しています」と、創業者である中嶋照晄会長が明かす。
 だが同社は、あくまで歯車加工で生き抜くことを選ぶ。「歯車の設計から加工まで、ノウハウを知り尽くすことがウチの強み」(中嶋社長)と一貫している。過去から営業をせず今も自社HPを作らない、知る人だけが知る高技術企業。中嶋社長は「営業活動はしないけど、取引企業様からの口コミによる広がりがある。技術はPRしていきたい」と言った。
 リーマンショック後の閑散期にプロジェクトを組み歯車の極小化を追求した。直径2mmに満たない最小歯車には62枚の歯がつき、すべての歯底は数ミクロンで鋭角な形状に仕上げたという。「歯車試験機でも歯底が測れないサイズです。極細のワイヤ線を使っても加工できません。自社製作の切削工具で作りました」と中嶋社長。この歯車は前々回のJIMTOF(日本国際工作機械見本市)で、協力工作機械メーカーのブースに展示した。「実用的なサイズかどうか?それは分かりませんが歯車加工の製造プロセスを知っていないと加工出来ないサンプル品といえます。見る人がみれば、うちの技術をわかってくれるはずです」と中嶋社長が続けた。

■積極設備と人材
 歯車加工技術を高度化させる取り組みは今も続く。安田工業やスイス・ライスハウァーの歯車研削盤、牧野フライス製作所の大型ワイヤ放電加工機(加工幅500mm)など、一流メーカーの機械をベースに歯車加工を進化させる。昨年にはカシフジの大型6軸CNCホブ盤も導入、次代に向けた設備投資に抜かりは無い。
 歯車加工で何が技術的に重要なのか―。中嶋会長に聞くと「平たく言って『線』の追い方がポイントです」と返ってきた。市場ではマシニングセンタ(MC)を使った歯車加工の提案もされているが「点のつながりを追うMCによる歯車加工は賛成できない」と言う。「ただMC応用のスカイビング加工は線を追うこの世界の道理に適っており、前向きに研究したい」とした。
 社内的な課題は「技術を若い人に継承していくこと」と、会長と社長が口を揃える。マニュアルだけではこなせない世界。図面から読み解く力や、モノづくりの勘所を知る力が欠かせないという。「仕事を進化させないと面白くない、そんな若い人に力になって欲しい」(中嶋会長)という。