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大手メーカーの一連の機能を少人数で実現

ビーサイズ(株) 代表 八木 啓太さん

 「機械系に進もうとする人はこれからすごく大変になるのでは。ピンやリブはこれくらいに設計して、そのためにこんな工夫が必要で…といった概念そのものが変わるので」 集まった理系学生を前にそう心配するのは「ひとり家電メーカー」として知られるビーサイズ(神奈川県小田原市)の八木啓太代表。2011年に医療機器メーカーを退職して起業し、同年発売したパイプを4回曲げただけのようなLEDデスクライト「STROKE」でグッドデザイン賞や独red dot design awardを受賞した。
 デジタル時代の製品は無料CADを使った設計、安価なモジュールの調達とその組み合わせなどでできてしまうという。設計データを送れば2日から2週間程度で試作品を出力してくれるサービス会社が登場し、3Dプリンターも個人が入手できるようになったのも追い風だ。「設立から10年ちょっとの100人以下の会社がスポーツカメラや液晶テレビをヒットさせ、北米ナンバー1シェアを獲得している。大手メーカーの一連の機能を少人数で実現できてしまうようになった」。
 起業のきっかけは、以前の勤務先にやって来た「手術灯にこんなLEDを使いませんか?」という売り込みだった。手術灯の扱いはなかったが、そのLED照明のギラツキのない自然光に近い光が気に入り、自宅でプロトタイプを作ってしまうのだった。
 もちろん苦労は少なくなかった。一人だと金属加工会社が相手にしてくれなかったり、組み立て作業にも限界があったりした(150台までは自宅で一人で組み立てた。現在社員4人に)。だが、それらをクリアすれば、「個人でも小ロット生産でき、極端な例では1台からでも利益が出せる。それがMAKERSムーブメントだろう」。
 (5月23日、中央大で開かれた精密工学会講習会「デザイン・イノベーション」から)