連載

2016年6月25日号

胎動 ロボット振興

利活用拡大に プラットフォームロボットも

ロボット革命イニシアティブ協議会

 第4次産業革命を通じGDP600兆円の目標を達成する。そのための中核を担う組織が、このロボット革命イニシアティブ協議会(以下RRI)だ―。経済産業省の糟谷敏秀製造産業局長は、冒頭そう述べRRIの活動内容とその意義を熱く語りはじめた。6月15日、都内で開催したRRIの総会・活動報告会のひとコマ。この日、RRIはWG活動の詳細を初めて一般公開した。

 昨年5月の発足時に226名だったRRIの会員は、現在約410名と約1年で倍近く増えている。ロボット・電機などの関連メーカーとそのユーザー系企業をはじめ、研究機関や工業会、大学教授ら。こうしたメンバーのほとんどがWG活動に参加し、「ロボット革命実践」にチャレンジ中だ。
 現在のWG活動は下図にあるように、「IoTによる製造ビジネス変革WG」、「ロボット利活用推進WG」、「ロボットイノベーションWG」の3つからなる。加えてサブWGなどとして、各WGの下で特定テーマに沿って活動を行うグループもある。
 6月15日の活動報告会―。「IoTによる製造ビジネス変革WG」は、産業間の垣根を超えて「モノづくりの付加価値を高める為」、新プロセスの創出と、その標準化を目指す取組みを実践していると報告した。
 関連するサブWGは、工作機械を中心にしたスマート工場の概念を具体的に提示。機械間でリンクする情報を、生産技術系(予知保全など含む)を経て生産管理系(ERP、MES等)へつなぎ、全体を最適にするというものだった。鍵を握る「インターフェースの共通化」では、具体的にどの部分のインターフェースを共通化すべきか、詳細まで洗い出した。
 「ロボット利活用推進WG」は、ロボット導入に欠かせないシステムインテグレーター(SI)の情報をネット経由で広く伝える事業をスタートした。同時にSIの業務プロセスを効率的に標準化する方策を追う。報告会では、利活用を広げるために各都道府県レベルでロボット事業を支援する機関を創出すべき、などの考えも発表した。

■USE CASEが変える?
 以上はごく一部の取り組みに過ぎず、実際のWG活動はもっと多岐にわたる。ただジレンマを感じた会員も少なくないようだ。WGが追うロボットや次世代製造のプロセス創出、普及、使いやすさ、高付加価値化といったテーマは、元来、多くの参加企業が「ビジネスネタ」、「競争要因」として捉えてきたものだからだ。このため「(表向き協力しても)互いに腹を探りあうといった場面もやはり出てくる」と関係者が明かす。
 「少なくとも総論賛成までは漕ぎ着けた」と話すのはRRIの久保智彰事務局長だ。
 「ユーザーサイドはいろんなメーカーのロボット、機械、システムが一つにつながって価値を上げることに期待している。そこに応えるためには協調が必要との認識はもってもらっている」と言い、次のように続けた。
 「ロボット革命イニシアティブ協議会と、革命の2文字を掲げる我々だが、なにもトンがった技術をさらに伸ばそうというわけでもない。すべての技術をバランスよく配し実業に落とし込んで行く、そういう方向に目は向いている。ユースケースを創出しながら目標に向かいたい」。
 この言葉に呼応するように、3つめのワーキング「ロボットイノベーションWG」では、ロボットの「プラットフォーム(PF)化」を見据えた活動を行う。クルマなどに多い部品や機能の共有化を検討する。機能モジュールを組み上げて作るPFロボットは「初期導入費の2割以上の削減を目指す」とした。ソフト面では技術分野横断的な機能をもつオープンソースソフトウェアを指向して開発、事業化を狙う。
 RRIの活動内容はWG以外にもある(上図参照)。連携活動では国内でIVIやIoT推進ラボと協業し、海外では今年4月、独インダストリー4.0の推進母体と連携強化に係わる文書を締結した。
 前出の久保事務局長はドイツの状況について「玉石混交と感じた」と明かす。
 「ドイツの構想は、フィールドレベルから経営レベルまですべてのレイヤーをつないでビジネス変革を図るというもの。構想の壮大さでは先行するが、200を数える関連事例をみると、なかには日本でとっくに実現しているものもある。決して日本が劣っているわけでない。日本発の先進事例を増やし、ロボットを核に製造の次世代化を引き寄せたい」(久保氏)。