オヤジの喜怒哀愁

2016年6月25日号

ケイマンいいとこ

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 ここにきて国際的な社会問題になっているタックス・ヘイヴン。「税金天国」の意味かと思えばヘヴン(天国)ではなく、ヘイヴンは「避難所」「回避地」の意味だそうだ。もっとも、タックス・パラダイスと呼んでいる国もあるそうなので、中らずといえども遠からずではある。ケイマン諸島には数十兆円の日本の金融資産が避難しているとも言われる。
 最近話題になったのはパナマ文書と言われる機密文書の流出だ。これは、パナマの行政書士事務所の会社登記に関する情報だった。パナマでは、外国資本企業は登記費用のみで法人税がかからないかあるいは大幅な減税措置がとられるため世界中から税逃れのためのペーパーカンパニーが集まってくるという。自国の産業が乏しいパナマとしても、法人登記は大事な産業になっている。パナマ文書を提供した匿名の情報提供者については明らかにされていない。情報漏洩の犯罪性は不問に付されており、一部ではパナマ文書陰謀説が唱えられている。
 パナマというとパナマ国籍の船舶が多いことでも知られている。これとタックス・ヘイヴンとはよく似た構図を持っている。事実上の船主の所在国とは異なる国に籍を置く船を「便宜置籍船」と言う。船主は船を所有するためだけの会社をパナマに設立する。船主は船舶保有税を抑制したり、乗員の国籍要件など本国の厳しい船舶規制からフリーハンドを得ることができるわけだ。
 パナマ文書が公開され、名前の上がった首相が辞任に追い込まれた国もあった。中国やロシアの指導者の関係者の名前も上がった。日本では財界人や大手企業の名前がリストにあったが政治家はほとんどいなかった。大山鳴動してねずみ一匹の感もある。パナマ文書が会社の登記情報だけで、金融資産情報を含んでいなかったため、影響力も自ずと限界があった。 リストアップされた人たちはいずれも適法に処理されているとのコメントを出している。
 しかし、問題は、オバマ米大統領も指摘する通り、多くの税逃れの取引が合法だという点にある。世界の50%の富を1%の富裕層が握るという現代の格差社会を法が後押ししていることになる。この巨大な免税市場であるタックス・ヘイヴンにメスを入れれば、残りの99%の人々の税負担はもっと軽くなっていいはずなのである。富裕層への増税は経済成長力を削ぐという理由でこうした税の不公平が放置されているのは、やはりおかしいだろう。