オヤジの喜怒哀愁

2016年8月25日号

優雅なスポーツ

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 リオ五輪も熱戦の幕を閉じた。映像を見て改めて実にいろいろな競技種目があるものだと感心した。そして、錦織圭選手とスペインのナダル選手の試合を見ていて、テニスというスポーツはつくづく優雅なスポーツだとさらに感心したのである。
 観客席を見る限り座っていても汗をかくほどに気温が高いようにも思われなかったが、快晴で日差しがとても強く、コート狭しと動き回る両選手の額からは汗が滴り落ちていた。そんな様子を映像もアップで捉える。
 すると、プレーが途切れるとすかさず球拾いの女子が真っ白で大きなタオルを選手の立っている場所までダッシュして届ける。選手はタオルを受け取り額や両腕を入念に拭う。拭い終わると球拾いの女子の顔も見ずにタオルを宙にパッと放り投げる。球拾いの女子はそれをさっとつかんでまた球拾いの定位置にダッシュで戻る。
 気温も上がったのだろう。試合が白熱した2セット目の前半にはこの光景がワンプレーごとに繰り返された。どちらかが1ポイント取るとタオルで顔を拭き、プレー再開。またどちらかが1ポイント取るとタオルで腕を拭うといった具合だ。暑いのだろうなと思いつつ、果たしてこんなスポーツが他にあるだろうかとつい余計なことを考えてしまった。
 こちらも熱戦が続いた甲子園の高校野球。選手たちは土と汗で泥まみれになっているが、彼らにタオルを届ける球拾いはいない。ポケットから自らハンカチを取り出して汗を拭いただけで王子である。それに比べたらテニスの選手は皆王様か女王様かそれ以上だ。
 卓球やバドミントンでも選手がタオルで汗を拭くシーンはよく見られる。テニスもそうだがラケット競技は汗で手が滑ったり、汗が目に入って一瞬の反応が遅れたりすることを他の競技以上に嫌うのかもしれない。卓球などまばたきする暇もなさそうである。しかし、それでも福原愛選手だってちゃんと自分で球を拾い、自分でタオルを取りに行って汗を拭いている。ボクシングに至ってはリングにタオルを放り込もうものならその瞬間に負けである。
 映像では相変わらず錦織、ナダル両選手がタオルで汗を拭っている。おやっ、しかしさっきまでとは何かが違う。球拾い女子はいつのまにか球拾い男子に代わっている。球拾い及びタオルサービスの低下を防ぐために、一定時間で要員が交代するシステムになっているようだ。テニスというスポーツはつくづく優雅である。