連載

2016年9月25日号

成形品を超短納期で

プロトラブズ、米流ICT事業、7年で9倍に

 連携した工場機能を融通しあうインダストリー4.0。まさにそんな次世代製造を想起させるのは米国発のプロトラブズ合同会社(神奈川県座間市、従業員約80人)のオンデマンド受託製造サービスだ。手持ちの3次元CADデータをウェブ上にアップロードすれば、金型を用いた射出成形品(樹脂)を10日で、切削加工品(アルミ、樹脂。来月からステンレスなどにも対応)なら3日でつくってくれる。サイズは爪先程度から最大650×480ミリまで。もっともこれは標準的な納期であり、最短1日が可能という。
 こんなICTを駆使したシステマティックな取り組みに、米国企業の考え方にはかなわないなと思ってしまう。試作、小ロット生産に特化したProto Labs, Inc.は1999年米ミネソタ州で創業。従来のRP(Rapid Prototyping)ではモノが悪くて使いものにならず、金型メーカーに頼めば時間がかかるうえ見積価格に一貫性がない。それなら射出成形品をRPのようにつくってしまおうと創業者のラリー・ルーカス氏は考えたという。
 プロトラブズは英国法人(05年設立)に次いで09年に事業を開始。オフィスおよび工場拡充のため先月半ば、巨大物流センターの一角に入居するかたちで2度目の移転を果たした。
 「スペースは潤沢にあり、いくらでも拡張できる。成長をどう管理するかが我々の大きな課題ですから」
 トーマス・パン社長(工学博士)は移転の理由をさらりと話す。専有面積は9千平方㍍と開業時の9倍に。製造キャパは射出成形で年産1500型、切削加工は年産4万5000パーツとともに1・5倍に拡大した。3軸制御中心の米ハース製マシニングセンタ32台、CNC旋盤3台、射出成形機11台(50~350トン)の設備をもつが、24時間稼働し続けているわけではまったくない。「6割前後の稼働率がよい数値。これでも利益が出る体質にしています。突然のピークにも対応できます」(同)。やはり日本の町工場とはかなり違う。
 同社の強みはソフトウェアによる形状解析だ。金型職人の代わりに多数のコンピュータを用いてクラスターコンピューティングを行う。並列による同時演算のため短時間で処理できるという。従来のやり方では加工のツールパスを出すのに数時間から一晩かかるが、「数分で戻ってくるからすぐに加工に移れる」。なんとなくわかるが、という顔をしていると、「射出成形に基づいたtocological analysis、つまり理論と現実をつなげる手法を採用しています。建築でいう構造計算のように考えてもらえばいい」。ますますわからなくなる。
 ソフトをプログラミングできる開発担当者を2人抱え、工法や材料の幅を広げ、ユーザビリティを日々高める。開発費は売上の7%を占めるという。
 たしかに納期は早いが品質はどうだろう。
 「通常の試作メーカーと同等でしょう。でも品質をおろそかにしているわけではありませんよ。日本一納期を守りながら、機能を果たす寸法精度を満たす。QCDのバランスがよいのが当社の特長でしょうか。お客様からもそう評価されてます」