コラム

2016年10月10日号

 モノづくりの将来を拓く取り組みとして、ITと製造技術の融合を昔から追ってきたつもりだが、IoT時代を迎え、両者のつながりは猛スピードで深まっている▼日本能率協会コンサルティングが今夏実施したIoT取組み実態に関するウェブ調査では、IoT(IT)を活用し現場の実態把握や生産システムの全体最適に取り組んでいる企業は、計画中も含め、輸送用機器で71%に達し、電気機器58%、機械53%と、これら3業種が製造業で突出して多く、半数を超す企業が対応していた▼実際、機械メーカー等を取材すると、グーグル、NTT、マイクロソフトといった社名が、自社事業を語る中で出てくる。少し前まで考えられなかった▼ただ製造業IoTのアプローチの形は様々で、整理して考える必要もありそうだ。設計→解析検証→製造とモノづくりの「時間軸」を中心にその効果を狙う動き。機械同士や、工場・サプライヤーを対象に「空間」をつなげることから効果を導く動き。また現場レベル→マネジメントレベル→経営レベルと「経営の層(レイヤー)」をつなぐ試み。これらは並び立つわけでなく、それぞれが絡むが、方法論的な議論が進んでいる感じではない▼ある教授が「分かったつもりになることが大事」と話したことを思い出す。分かったつもりになれればもう怖くなく、前向きさが生まれるというのだ。けれどIoTは言葉が溢れ「分かった気になって」一部、万能の化身のように持ち上げられている。ブームの影で、蔑ろにされているものがないのか、そっちも気になる。