連載

2016年10月25日号

実践、自動車・電機・機械で進む

発展的な事例創出が鍵か

 IoTの活用は、自動車や船舶などの「輸送用機器」と「電気機器」、「機械」の3業種が製造業の中でも突出して進んでいるという。ただ活用は「設備」を対象にした取り組みが中心のよう。生産効率の向上やビジネスモデルの改革につながる、ユースケースなどと呼ぶ先進事例を見出し、それを普及・発展させることが求められそうだ。

日本能率コンサルが調査
取り組み 「設備」に実績
 日本能率協会コンサルティングはこのほど、今年8月上旬に製造業を対象に実施したIoT取組み実態に関するウエブ調査の結果を公表した。182の有効回答から、現在の取り組み内容を知見を交えて綴った。
 それによると、IoT(IT)を活用し現場の実態把握や生産システムの全体最適に取り組んでいる企業の割合は、計画中も含め全体で43%と半数に近かった。業種別では輸送用機器の71%、電気機器58%、機械53%と、これら3業種が突出して多かった。反面で医薬、食料品、化学の取り組みは7~27%に過ぎず、全体として遅れていることが分かった。同様、スマートファクトリーの実現に関する問いでも、実行中(含む計画中)との回答が多かったのは前記3業種で、機械60%、輸送用機器50%、電気機器45%だった。
 視点を変え、設備、人、物といった生産のリソース別に取り組み内容をみると、設備を対象にした取り組みが多く、次に「物」を対象とした活動が続いた。一方で人の作業効率や生産性を対象とした取り組みは少ないことが分かった。
 すでに実行中との回答が多かったのは「設備の稼動状態を測定し、いつ止まっていたのか稼動状態把握」(23%=計画中含まず)を筆頭に、「設備停止時や不良発生時の状況を把握」(同20%)、「物の状態を把握することで、生産進捗把握や作業訓練に役立つデータ取得」(同18%)、「物に関するデータを取得し、棚卸しや在庫管理の効率化を実現」(同16%)などだった。人に関する取り組みは「作業者の作業適正把握や作業訓練に役立つデータ」が同4%にとどまるなど、対照的に低かった。
 また、製品そのものへの新たな付加価値の追加、アフタービジネス展開などにIoTを活用して取り組む企業も現状はわずかだった。「新たなビジネスモデルの創造まで、踏み込んでIoTを活用している企業は少ない」との現実が浮かんだ。

RRI 事例創出へ
 中小の取り組みも促す
 昨年5月に発足したロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)は、日本が得意とするロボットをベースに次代の製造革新を推進することを狙う。RRIのなかに3つあるWG活動のひとつが「IoTによる製造ビジネス変革WG」だ。昨年7月に電機、自動車、機械、ITなどの企業と、各種工業会、大学・研究機関など計147のメンバー(当初数)で活動を開始、デジタル技術を使ったスマート工場実現の為の提案や、課題の洗い出し、その対応などを図ってきた。およそ月1回、会合を開いている。
 10月19日に開催された「ロボット革命国際フォーラム」(東京ビッグサイト、主催RRI)では、「産業のデジタル化推進」を全体テーマにして、ドイツ、フランス、中国、チェコの取り組みに続き、RRI事務局の水上潔・インダストリアルIoT推進統括が「IoTによる製造ビジネス変革WG」の活動内容を講演した。
 「最新成果」と掲げたタイトルからはやや遠く、講演の中身は具体性に欠けた感もあったが、同WGでは目下、アクションとして大きく3つ、IoT推進の為に「国際標準化」、「中小中堅サポート」、「ユースケース創出」に努めている旨、大枠を伝えた。
 水上氏は、中小中堅製造業のデジタル化が「ひょっとすれば第4次産業革命の成功の鍵を握るのではないか」と指摘。中小中堅の為のIoTツールの必要性を強調し、RRIとして同ツールの公募を行い「100くらいのツールを選定し公開した」(公開日10月4日)などと伝えた。また中小中堅企業を含め、優れた事例という意味での「ユースケースの創出を増やす」必要を語り、その為のアクションに注力すると話した。