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松浦機械ら「第10回記念シンポ」

金属光造形技術を医療分野へ

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 積層造形システムを歯科などの医療分野に応用させようと、産学官からなる「金属光造形複合加工医療機器フォーラム」が10月29日、金属光造形複合加工機を開発・発売する松浦機械製作所の東京フォーラムセンター(都内大田区)でシンポジウムを開催した。歯科大学などの教授や研究者をはじめ、金属3Dプリンターメーカー(ベンダー)、金属粉末メーカー、歯科用金属(ほてつ物、インプラント)を製作する企業の幹部ら50名ほどが参加した。
 シンポジウムは毎年2回のペースで約5年間開催しており、今回が節目10回目の記念開催。同フォーラムの岡崎義光会長(産業技術総合研究所)は冒頭、「もう5年間取り組んでいるが、積層造形システムの実用化が見えてきたなか、薬事法を巡る議論も前向きなものに変わって、(ビジネス活用を)やりやすい環境に変わりつつある」と期待を話した。また金属3Dプリンターの歯科分野応用について講演した新谷明喜氏(日本歯科大学名誉教授)は「保険の対象で利用できれば、質の高い治療を通じ国民に貢献できる。必要なだけの量を使って必要な歯科用金属を作れるメリットを、私はエコの技術だと主張している」と強調した。同氏は、金属3Dプリンターによる研究用クラウンの適正試験の進捗を伝えた。
 金属3Dプリンターの技術進化について複数のメーカー・ベンダーから詳細説明があり、これが講演会のメインになった。NTTデータエンジニアリングシステムズ(独EOS社製を販売)、松浦機械製作所、愛知産業(独SLM社製を販売)の順で最新技術を具体的に報告した。
 NTTデ社では「この3、4年は樹脂タイプよりも金属3Dプリンターが売れている。複数台を保有するユーザーが継続的に設備を増やしている」などと切り出し、4本のレーザーを積んで造形速度を飛躍させた新製品(今年11月発売)の説明を行った。また歯科用に作りこんだ金属3Dプリンターについて「小型サイズでも歯科用ほてつ物を1回80ユニット分、一日2回作れる」などと説明した。「欧米に比べ国内における金属3Dプリンターの活用は感覚的に3年ほど遅れている」としつつ、今後の利用普及に期待を寄せた。
 松浦機械はレーザーと切削加工をハイブリッド化した自社の金属3Dプリンターの最新取り組みとして、レーザーの走査速度、切削スピード向上とともにCAMの最適化に取り組んでいるなどと伝えた。使用する金属粉末の種類は新たにアルミ系(Si10Mg)を加えるなど充実させている。また再利用時を含めた粉末成分(造形成分)の微妙な変化について実験結果を公開、「10回の再利用時も規格(JIS、ASTM等)に対応している」などと話した。
 金属粉末を繰り返し使った場合の成分変化については愛知産業も言及した。造形を繰り返す過程で「材料が減った分、新しい金属パウダーを注ぎ足して次のワークを造形する場合」と、「注ぎ足さず、材料の回収・再利用を単純に繰り返す場合」の成分評価などで、基礎データづくりが進んでいることを報告した。同社は金属3Dプリンターの販売のみならず金属パウダーの販売・研究でも実績があり、広い視点から課題と対応を述べていた。
 このほか、ガスアトマイズ金属粉のリーダーカンパニー、サンドビック(マテリアルテクノロジーカンパニー)が造形用金属粉の最新状況などを説明。歯科用として有望視されるコバルトクロム合金パウダーの粒径分布などを紹介し、活用のヒントを与えていた。その後、岡崎会長の講演を経て懇親会を開催、会員メンバーらは情報交換を行った。