オヤジの喜怒哀愁

2016年11月25日号

木を切る道具

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 11月も終わろうとしているが、このくらいの季節になって農家がホッとすることの一つは草が伸びなくなることだ。3月から11月くらいまでは草刈りに追われる。刈っても刈ってもすぐに草は伸びる。畑にしても果樹園にしても田んぼにしても草との戦いに明け暮れると言って過言ではない。それが、この時季になるとしばし休戦協定が結ばれるのである。
 とはいえ、暇になるのかというとそんなこともなくて、晩秋から冬にかけては山仕事の季節だ。草に代わって今度は木との戦いが始まる。木を切るのは結構な重労働で鋸を引いていると厳冬でもすぐに体がポカポカしてくる。切った木を燃やすこともある。夏にこんなことをしていたら大汗をかいて作業はちっとも進まない。落葉樹なら葉が落ちて切りやすいし、蚊や虫が少なく、蜘蛛の巣も張っていない。山仕事は冬場に限るのである。
 木を切る道具でなんと言っても一番重宝するのは手引きの鋸である。山仕事は斜面を上ったり高い木に登ったりするのでできるだけ身軽でいたい。持って移動することを考えると道具は軽いのが一番だ。手引きの鋸なら腰にぶら下げてどこへでも行ける。
 しかし、直径が15cm級の堅い木を切ろうとすると手引きではなかなか骨が折れる。そんな場面ではバッテリー式のチェーンソーが便利だ。最近は軽量でパワーのあるものが出回っている。ガソリンで動くエンジン式のチェーンソーのようにいちいちスターターの紐を引っ張ってエンジンをかけなくてもボタン一つ押せば始動するのもありがたい。
 エンジン式はかかりが悪いと紐を引っ張っているうちにひと汗かいてしまう。持って移動するには重いし、パワーがあるので扱うにはやはり危険が伴う。だが、パワーがあるということはよく切れるということで、ということは作業スピードが速いということでもある。20㌢㍍級の木をバッテリー式で切っていると軽量とはいえ時間がかかるのでチェーンソーを支えて持っているだけで疲れる。重たくて危険というマイナス面を差し引いてもエンジン式の方が楽である。切り倒した太い木を薪の長さに捌くときもエンジン式がいい。
 いま欲しいと思っているのはレシプロという電動式の鋸だ。安全で手引きの感覚でどこへでも持って行けそうなところが魅力である。ドライバーでいくか、アイアンでいくか、パターを持つか、ゴルファーのように場面場面で道具の番手を決めて木と戦う季節なのだ。