オヤジの喜怒哀愁

2016年12月10日号

カラスの群れ

9290

 木に成っている温州みかん、冬みかんが紅く熟しおいしそうな色になってきた。手の届く範囲はあらかた収穫したのだが、鳥除けの網でも掛けようかと悠長に構えていたら、まだ木の上のほうに残っていた大きくてうまそうなみかんはアッという間にカラスの餌食になってしまった。
 裏山にカラスの塒(ねぐら)があるのか、朝夕鳴き声を聞くことがある。ときには おびただしい数のカラスが飛んでいるところや電線にとまっているところを目撃することもある。あれだけの数がいては我が家のみかんなど風前の灯火も同然であった。
 カラスは春から夏の繁殖期以外は夜はみんなで集まって一緒に寝る。しかし、用心深いカラスはすぐには塒に帰らない。「集塒前集合」といって夕方、塒に帰る前に近くでいったん全員集合し、そうして天敵がいないかどうか警戒し、安全が確認できるまで塒の外で待っているのである。夕方、我々はそんな彼らの姿を目撃する。「カラスが鳴くから帰りましょ」という歌にもなる。
 以前、読んだ本がおもしろい実験をして、カラスが餌を見つけるのは臭いなのか見た目なのかを調査していた。カラスは油物が大好物なので鶏の唐揚げにマヨネーズをかけたものを用意し、これをふたつの袋に入れる。ひとつは外から見えるように、もうひとつは新聞紙に包んで外からは見えないようにしてゴミ集積所に置いた。マヨネーズをかけたのは臭いを強くするためだ。臭いで好物を探しているなら新聞紙で包んだ唐揚げにも気づいて食べるはずだし、目で探しているなら新聞紙のほうには気づかないはずである。
 結果は、何度実験しても外から見えるほうだけを食べ、新聞紙に包んだ唐揚げにはまったく気づかなかったそうである。カラスの嗅覚はあまり発達しておらず、好きな食べ物はもっぱら目で見て探しているのだ。
 カラスというとゴミを散らかす厄介者というレッテルを貼られてしまったが、この実験をした人は重大なことに気づく。それはゴミを荒らすカラスが急に増えた時期は、それまで使っていた黒いビニールのゴミ袋が禁止された時期と重なるということである。ゴミ袋の半透明化は分別のルールが守られなかったり、中に危険物が入っていたりしたためにとられた対抗処置であったが、皮肉にもカラスにとってもゴミ袋の中身を可視化してしまったわけである。