オヤジの喜怒哀愁

2017年1月1日号

過去の清算

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 物が増えすぎてあたりが狭くなってきたので暮れの大掃除を機会に処分を断行した。長く保有していた物も多く、アルバムを捨てるようで寂しい気もするけれど、空間にも価値がある。ゴミの中に埋まっているような生活よりも物のない広い空間ですっきりとした気分で新年をスタートしようというわけである。
 近年は中古市場が充実していて不用品を買い取る店がたくさんある。いくらかでも値段がつけば捨てるよりましかと思いリサイクル店に持ち込むことにした。まずは本である。
 全10巻揃った歴史物の文庫本や少し前に話題になった単行本など段ボール箱で2箱。査定に30分くらいかかりますと係の男が言うので用を足してから店に戻ると「70円です」と言われた。思わず「違う人のと間違ってませんか」と問い直したが査定表を見ると確かに自分が持ち込んだ本のタイトルが記載されている。ほとんどの本に値段がついていないのだ。お代は結構ですと言って空になった段ボール箱2箱を持ち帰った。
 次は服である。長く愛用してよれてしまったシャツや長く持っている割りにほとんど着ていない上着など大きなゴミ袋に2袋、30点ほどを持ち込んだ。15分ほどで終わりますと係の男が言うので店内で待つことにした。店には衣料から家電、家具、食器、雑貨など多様な中古品が陳列されている。新品のギターの弦がセットで安く売っていたので購入することにした。番号札を呼ばれカウンターに戻ると千円と少しになった。値段がついたのはブランド品のみ数点で、あとはボロきれ扱いで1円の値段がついている。ギター弦と相殺するとわずかに足が出 た。
 意を決してCDも大量処分することにした。長く聴いていない物も多く、埃をかぶっている。しかし、1枚1枚ジャケットを眺めていると買った当時のことなどが思い起こされて売るに忍びない気持ちにもなるのだが、そんなことを言っていては広い空間ですっきり新年という目標は達せられない。断腸の思いで段ボール箱に1箱詰め込み、件の古本屋に持ち込んだ。結果は2150円。様々な思いの詰まった中古品段ボール箱1箱で新品のCD1枚分の値段である。
 以前、同じ店に息子が10点ほどゲームソフトを持ち込んで1万円以上の値がついたのに比べると雲泥の差である。しかし、そんなことはもう言うまい。過去を清算して空間を手に入れたのだ。それでよしとして、気分を新たに新年のスタートを切ろうと思う。