連載

2017年2月10日号

接続性高まるIoT基盤

採用実績・効果のPRに各社 軸足

 世界各国における製造業回帰とともに、製造業におけるIoT(モノのインターネット)化が加速している。ただ、その中身はずいぶんと変わってきた印象だ。1年ほど前は独米のどちらが主導権をとるのか、果たして日本はそれにどう追随するのかとった議論が中心だった。しかし、プラットフォームを提供する各社は国籍を問わず、そのコネクティビティ(接続性)や採用実績・効果のアピールに力を入れだしている。
 「ウチもIoTをやりたいんだけど、という相談が当社にも多く寄せられるが、IoTを採り入れることを目的化していると往々にしてうまくいかない」
 米GEインターナショナルインクの新野昭夫インダストリアル・インターネット推進本部長はそう話す。そこで強調するのは「シンプリフィケーション、つまり小さく速く回すべきだ」。同社が今月ウェブ上に立ち上げる、産業向けIoT基盤「PREDIX」は競合他社のプラットフォームと比べそれほど大きな違いはないという。「ただ、こだわっているのはフィールド側のコネクティビティ。グループの工場で試してきた知見を埋め込むことで実現した」。スマートフォンのタイル状のアプリのように、基盤上で様々なアプリを組み合わせられるという。
 採用事例として挙げるのは機関車やジェット機。機関車では1車両に実に900個ほどのセンサーを取り付け、振動・温度・加速度などの変化を読み取って故障の予兆がないかどうかを見る。また、そのビッグデータからランニングコストとリスクを洗い出し、運行計画まで同社が手伝うという。

■ミリ秒でデータを送受
 世界に産業用ロボットを44万台、CNCを359万台出荷してきたファナックは、ロボットの知能化や工場の稼働率アップを提案する。同社のモットーはシンプルでわかりやすい。
 「(工場設備が)壊れない、壊れる前に知らせる、壊れてもすぐに直せる」
 昨年6月にロボット事業本部長に就いた稲葉清典取締役専務執行役員はそう明快に話す。オープン・プラットフォーム「FIELD system」(参加企業3百社超)を提供する同社では、納入したロボットのうちすでに1万台が繋がりをもったという。昨秋のJIMTOFでは20年前の工作機械を含め250台を繋いで稼働を可視化した。
 プラットフォーム上に必要なアプリをダウンロードして載せられるのはGEと同様だが、このオープンな基盤はクラウド上ではなくフォグ(クラウドよりもデバイスに近い位置に置いた分散処理環境)上にあるのを特徴とする。その利点はいくつもある。まずセキュリティが高まる。必要なデータだけをクラウドに上げるので費用が抑えられる。加えて反応速度が格段に速い。
 「クラウドまで回すと約0・5~1秒かかってしまうが、FIELD systemならミリセック(千分の1秒)単位で済む」と稲葉氏。これらの利点を生かし、今後は製造現場で不良品をはじくだけでなく改善へつなげる考えだ。
 (昨年12月に東京で開かれたSEMICON Japan併催の「Industrial IoTフォーラム」から)