コラム

2014年7月10日号

 MT(製造技術)とIT(情報技術)の融合は、近年のモノづくり業界が上位に掲げてきたテーマであるが、ブームを呼ぶ3Dプリンターが思いがけず、この融合のテーマを推し進めるのではないか▼スキャニングや3次元データのモデリングを通じ、3Dプリンターを動かすのがITサイドの役割ならば、3Dプリンターで工法を変えたり、その造形物を機能部品等に活かし切るのは製造技術、エンジニアの力だろう。両者がダイレクトにつながれば1+1が2以上になりそうだ▼しかし現実、MTとIT、双方のビジネスプレイヤーの「つながり」は概ねまだ薄い。率直に言って、両業界は普段の言葉使いからして異なる。本当はお隣同士に近い関係なのに、ともすれば接点も少なかった。結果、コラボを組んでも、互いの理解が行き届かず仕事が進まないなどの例が多く転がっている。3Dプリンターについては、旧来の製造システムの「知恵」を理解せず、プリンターの進化ばかり口述する営業マンに眉をひそめる製造業者もいる▼モノづくりのIT化が待ったなしで進むなか、今後IT事業者はMTの方向へ、MT関連事業者はITの方向へビジネス領域を広げようとするだろう。そこにはビジネスチャンスと同時に、新たな競争も生まれるが、もうひとつ、両業界の「人的融合」もまた必然的にテーマになるはずだ。もしそうならず、仮に水と油のような人間関係のままだとすれば、せっかくの技術が泣くことになる。