コラム

2019年6月25日号

 アンデルセン「裸の王様」は、小生の最も古い読書体験の一つ。ごく幼い頃で、どう読んだか読んでもらったか忘れたが、王冠だけを身につけた太っちょの王様が、最後、恥ずかしそうに身を屈めた挿絵をうっすら覚えている▼馬鹿には見えない不思議な高級衣装を仕立てたという業者の口車に乗り、あるはずのない衣装を得...

2019年6月10日号

 前号の当欄で風薫る5月の爽やかさを、風にまつわる個人的な想いも交え綴ってみたが、翌々日の発行日から一転、まさかの全国的な真夏日に▼季節にあわせたコラムのはずが、すっかりハズしてしまい、しばし反省。まったく、昨日とは違う明日が、政治もビジネスも、何かと変動激しい昨今の天候でも頻発してやってきて...

2019年5月25日号

 季節は梅雨に向かっているが、晴れた日には木々の緑を鮮やかに感じる。薫風とはよく言ったもので、この時期、自然の豊かなエネルギーが風に乗って香るように寄せる▼風のなかを遠い記憶が駆けることもある。無意識がなせるワザだろうが、風が通り過ぎる際に懐かしい匂いを嗅ぎ分けたと思える瞬間があり、このとき稀...

2019年5月15日号

 僕らは三無主義と言われていたな―。そう思い出したのは「内向き志向の若者が増加」というネット解説記事を読んでいた最中のこと。三無主義の三無は無気力、無関心、無責任で、昭和50年代の若者気質を表す言葉だった▼学生運動の嵐が過ぎ、生ぬるく、かったるそうに自己中心の生活をむさぼる当時の若者をそう呼ん...

2019年4月25日号

 5G(第5世代移動通信)の話題が製造業の世界でもよく聞かれるようになった。基地局設置に絡み、試作型分野に大量の発注が出だした、といった話も1カ月ほど前から耳にする。いよいよ、という感じだ▼なにせ経済効果は国内の製造業・オフィス関連だけで13.4兆円(総務省調べ)。国内全体だと約50兆円(同)...

2019年4月10日号

 春。新社会人をオフィス街で見かける。新着のスーツや立ち振る舞いから、ひと目でそうと分かるのが不思議だが、溌剌とした彼らは、ベテラン社員のモチベーションも押し上げてくれそうだ▼特に今年は、新元号が決まり、春の訪れとともに心機一転、良いムードをもたらしている。この機会に「新しい時代の計」を考えた...

2019年3月25日号

 国連の関連団体が実施した今年の世界幸福度ランキングで日本は前年から4つ下げた過去最低の58位だった。ひとつ下の59位に、殺人率で日本の約200倍、外務省が「不要不急の渡航は止めて」と指導するホンジュラスの名があり、少し驚いた▼世界の中で相対的に平和で安全な日本が、殺人率・犯罪率でワースト級の...

2019年3月10日号

 襖をさっと閉めたら、そこに息子の小さな指があった。あっと思う間もなく火のついたような泣き声。医者に駆け込んだ▼骨に異常は無かったが、包帯の下の4歳児の2本の指は、大人の指ほどに黒く腫れ上がった▼20年程前の出来事だが、その日の失態は後日談とともに重い記憶として残る。2、3日して夜、自宅に電話...

2019年2月25日号

 瀬戸内海に面したF市を取材で回った。モノづくりが盛んで、日本を代表する大手鉄鋼の大規模事業所から、工作機械、産業機械、食品機械、工業用ゴム、自動車部品関係、繊維・衣料系等々の工場が林立する▼いわゆるニッチトップの会社が多く、取材先の四方山話では、著名な企業を上げ「○○社の商品は、実はこの町の...

2019年2月10日号

 先日、ロボット関係の全国団体トップとゆっくり話をする機会を得た。そこで話題に上がったのが時代のテーマに沿う人材育成の在り方▼今や多くの製造業にITや3Dデータに通じる人材が欠かせず、その方面の教育が大事というわけだが、このトップいわく「しかし今の教育は、まったく現場に降りていない」。声のトー...