コラム

2019年10月10日号

 市場のムードや勢いのほどを「地合い」という言葉で表現することがある。地合いの良し悪しを見て投資すべきなどと、主に株式市場で使われてきた▼これを今の民間設備投資に当てはめると、さしずめ「軟弱な地合い」と表現されそうだ。国際貿易摩擦をはじめ、半導体関連のダウントレンドなど足下から先行きまで不透明...

2019年9月25日号

 恩師である高校時代のラグビー部監督に数十年ぶりで会って、開口一番「いま、小学生をコーチしています」と伝えると、昔から言葉少なだった監督は「そりゃ恩返しせんとな」と、まずひと言だけ返してきた。再び月日が流れたが、この短い言葉が記憶に残る▼田舎の高校の初心者だらけのチーム。筋骨隆々のラガーもいた...

2019年9月10日号

 実態を急に理解し得た時に、理解のキッカケとなった要因を指し、目からウロコなどと言うが、筆者がモノづくり業界を取材し続けたなかで最大の「目からウロコ」は、もう20年以上前か、ある講演会で聞いた「後発優位性」なる言葉だった気がする▼当時からモノづくりの大方が設備産業化する一方、機械等の設備はどん...

2019年8月25日号

 天気予報が「秋雨前線の影響が…」と季節の移ろいを教える。もうすぐ秋、早いものだ。暑さの和らぎは歓迎だが、夏の終わりはどこか淋しい。夏休みの終了を嫌った子供の頃の想いが胸に残っているからだろうか▼と、オセンチな出だしになったが、そんな感傷などすっ飛ばし、トップアスリート達は次の「夏」に賭ける。...

2019年8月10日号

 40歳までに自分を変えられない奴はまず無理だね。仕事で新しい発想も出てこないよ―。筆者がちょうど40になろうとする頃、仕事で付き合いのある一周りほど年上の、少々インテリぶった先輩が酒の席で冷ややかに話した▼もしかこちらへのあてつけ? まあいい。「鉄は熱いうちに打てと同じですね」。差し障りのな...

2019年7月25日号

 愛煙家の肩身の狭さと世間の世知辛さを以前のコラムで書いた。その時「こんな話はもうこれっきりにするが」と断りを入れたが、もう一度取り上げたい▼大阪府職員が、勤務中の喫煙により訓戒等の処分を受けたとの報道が、1カ月ほど前に流れた。約9年間で2318回の喫煙回数があり、これが「職務専念義務違反」に...

2019年7月10日号

 覚えておきなさい。これからの日本の製造業は素材と部品だよ―。かつて、そう熱く語ったのは、製造業を評論し、多くの著書や講演会を通じモノづくりにエールを送り続けた故・唐津一氏(東海大学名誉教授)だった▼弊社がインタビューしたのは20年近く前。東京銀座にある大手広告代理店のビルの一室に書斎を構えた...

2019年6月25日号

 アンデルセン「裸の王様」は、小生の最も古い読書体験の一つ。ごく幼い頃で、どう読んだか読んでもらったか忘れたが、王冠だけを身につけた太っちょの王様が、最後、恥ずかしそうに身を屈めた挿絵をうっすら覚えている▼馬鹿には見えない不思議な高級衣装を仕立てたという業者の口車に乗り、あるはずのない衣装を得...

2019年6月10日号

 前号の当欄で風薫る5月の爽やかさを、風にまつわる個人的な想いも交え綴ってみたが、翌々日の発行日から一転、まさかの全国的な真夏日に▼季節にあわせたコラムのはずが、すっかりハズしてしまい、しばし反省。まったく、昨日とは違う明日が、政治もビジネスも、何かと変動激しい昨今の天候でも頻発してやってきて...

2019年5月25日号

 季節は梅雨に向かっているが、晴れた日には木々の緑を鮮やかに感じる。薫風とはよく言ったもので、この時期、自然の豊かなエネルギーが風に乗って香るように寄せる▼風のなかを遠い記憶が駆けることもある。無意識がなせるワザだろうが、風が通り過ぎる際に懐かしい匂いを嗅ぎ分けたと思える瞬間があり、このとき稀...